このブログで何回か取り上げてきましたが、モラルハラスメントに関わるご相談が増加しています。その背景には、この言葉が世の中で徐々に啓蒙されてきた事もあげられるのではないかと思います。日本の夫婦関係の価値観の中には、「夫唱婦随」という考え方があります。そのため、夫の理不尽な要求やわがままな指示に対しても、妻はある程度は我慢をするべきといった風潮が根強くあるようです。

 それが妻に対する精神的な加害行為であっても諦めていたり、あるいは精神的な従属関係が出来上がってしまい、一人で抱え込むことがほとんどだったようです。モラルハラスメントという言葉が啓蒙されていく中で、自分がその被害者だった事にあらためて気付く方も多いようです。もちろん夫の理不尽な要求すべてがモラルハラスメントかどうかは議論のあるところです。また、最近は女性がその加害者である事例も少なくありません。

 加害側の精神構造として、自分のことにしか関心が無く、特別な存在だと思いこむ自己愛性人格の傾向がある方が多いといわれているようです。しかし、最近は特にそういった傾向がなくても、夫婦の力関係の中で起きてしまうケースが目に付きます。物質的に恵まれ不自由のない社会が、相互受容という人間関係にとって大切な要素を取り去っているような気がします。

 モラルハラスメント傾向のある方の性格を変えることは非常に困難のようです。また、多くの場合結婚以前は非常に人当たりがよく、スキルも高く見えます。もともと、相手を支配しようとする欲求と自分を良く見てもらいたいという欲求は同じものである事が多いため、これが強いと結婚した後に豹変する事もあるようです。

 一方、被害を受けている方は、一人で抱え込んでしまいがちです。責任感が強く真面目であると、人にこういった被害を打ち明ける事がなかなかできません。自分で解決するべきことといった考えが切り離せません。しかし、その事がかえって事態を悪化させてしまう事も多いようです。むしろ、誰かに打ち明けたり相談をする事で事態を見直すことができます。

 ご自身が被害を受けていることに気付いたときは、勇気を持って信頼できる方に相談をされるのがまず解決の第一歩ではないかと思います。また、相談を受けた方は、「我慢しなさい!」といったお説教をするのではなく、まず、「よく聴く」ことが大切な事ではないかと思います。そして、相手に対し、こちらが苦痛を受けていることを相談者自身がしっかりと伝えていくことができるように支えることが求められます。
 
 多くの場合、第三者が間に入っても、一時改善するもののまた元に戻る傾向があります。間に入って加害者に説教をすることより、被害者が自信を持って相手に対応していけること主体に考えていく方が、より良い解決を生み出しやすくするようです。
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