離婚や再婚といった婚姻についての価値観が多様化する中で、それに伴う親子関係が複雑化しています。法的な面だけではなく、心理的な面も含めて考えていかなければならないご相談も増えています。夫婦、親子といった関係のみならず、親族間や姻族間の関係も以前とはずいぶん様変わりをしているようです。人間関係が希薄になりつつある社会の中で、親族の間柄も疎遠となってきています。その中で、いざ相続の問題が発生した時、なかなか良いコミュニケーションが取り辛くなることもある程度うなずけます。

 特に、離婚後のご夫婦の場合、ほとんど疎遠になっていることが多く、いざ相続などの問題が発生すると子どもや親族に思わぬ負担がかかることがあります。離婚によって夫婦の法的な関係は終了します。しかし、子どもがいる場合は、親子の縁を法律的に切ることは、ほとんどの場合できません。特別養子縁組の場合のみ法的な親子関係も切れますが、この制度を使うケースは離婚の場合ではほとんどありません。

 日本の法律では、離婚した場合の親権は片親がとります。そのため、親権を取らなかったほうの親とは関係が希薄になります。面接交渉を頻繁に行なっている場合はお互いの様子がわかりますが、そうではない場合、お互いの住所さえ不明になってしまうこともあるようです。住所不明だと、話し合いをすることも、調停を申し立てる事もできないため、止むを得ず裁判ということになってしまいます。

 財産があって、それを相続する場合であればまだしも、突然、関わりもなくなっていた親の負の財産が舞い込んでくることがあります。また、親子関係があれば扶養の義務もあるため、長年別れて暮らしていた親の老後の面倒をみなければならない場合もあります。 離婚するご夫婦は、そこまで考えが及ばない事も多いようです。だからと言って、離婚はやめたほうが良いというわけではありません。
 しかし、特に子どものいるご夫婦の離婚の場合は、こういった将来の問題を予測して、扶養や相続を含めた子どもに関わってくる問題については、離婚の際に十分に話し合いの場を持つことが必要ではないかと思います。
そして、できる限りそれを公正証書などの書面にされることが望ましいと感じています。
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