民法の中に「直系血族及び兄弟姉妹は、互に扶養する義務がある」という条文があります。親が子どもを養い育てることは、当然のことです。ただ、この条文の中では「互に」という言葉が用いられています。つまり、子どもにも親を養う義務があることになります。
 これも、ある意味では当然のことです。親が年をとり、自分で生活することができなくなったとき、子どもが介護をしたり、経済的な負担をすることは当たり前のことだったはずです。
 しかし、今、家族関係の多様化の中で、この「扶養義務」に疑問を持つ方が増えているようです。その一つの要因として、親子関係のあり方の変化があげられます。

 以前は、養われている立場の子どもは親の命令に従うことが常識とされ、いわばその恩に報いる形で親の老後の面倒をみました。今でも、これが一般的かもしれません。
 でも、最近の親子関係は、むしろ対等の関係になりつつあります。その中で、親は親、子は子という考え方が普通になっています。親の世話にもならないし、親の世話もしないといった考え方が生まれても不思議ではないのかもしれません。
 また、離婚の増加や親族関係の希薄化も要因の一つであるようです。親が離婚をして、片親と別々に暮らすことになっても親子関係を法律的に切ることはできません。離婚後、交流がなくても「扶養義務」は基本的に消せません。子どもにとっては、ある意味、理不尽に思えることも多いようです。

 最近は、「親子の縁、兄弟の縁を法律で切ることはできないか?」といった相談をよく受けます。「扶養義務」があるからといって、すぐに介護をするとか、経済的負担を求められるとは限りません。ただ、心情として法的に縁を絶ちたいと願っている方は相当いらっしゃるようです。
 このようなとき、親族間で負担付贈与契約等の契約を考えていくこともできます。こういった契約をしたからといって、この義務を免れるわけではありませんが、約束をしておくことで何かの時には役に立つことも多いようです。現在の日本の法律では親族の縁を切ることは不可能であることと、「扶養義務」という法律があることは知っておくとよいかもしれません。

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