★ 被災した取引先への見舞金、売掛金免除等の「支援」の課税関係 ★
ブログ投稿日時:2011年04月12日火曜日 11時13分57秒
記事投稿者:行政書士・税理士 溝江 諭 KSC会計事務所 カテゴリー: General
札幌市豊平区の 行政書士・税理士 溝江諭(みぞえさとし) です。
今日は 「 震災により被災した取引先への見舞金や売掛金の免除、低利融資などを行なった場合の課税関係 」 についてお話ししましょう。
法人税では、「取引先へ」の一般的な慶弔見舞金の支給の場合は「交際費等」、売掛金等の債権免除や低利融資などの経済的利益の供与の場合は「寄附金」とされ、確定申告の際には、それぞれの損金算入限度額を超える部分の金額は損金不算入となり所得を構成し、税額計算の対象となります。(措法61の4Ⅰ、法37)
では、今回の東日本大震災で災害を受けた取引先に対して、法人がこれらの行為を行なった場合には法人税法ではどのような取り扱いになるのでしょうか。
(1) 取引先に対する災害見舞金等
取引先との被災前の取引関係の維持・回復を目的として、法人が取引先の復旧過程においてその取引先に対して行った災害見舞金の支出、事業用資産の供与等のために要した費用は全額損金の額に算入できます。すなわち、法人税では「交際費等」にする必要はありません(措通(法)61の4(1) -10の3)。なお、この場合の消費税の課税区分は「課税対象外」となります。
これらの費用の勘定科目としては、「交際費」または「販売促進費」などを使用すると良いでしょう。
(2) 取引先に対する売掛金等の免除等
災害を受けた取引先の復旧過程において、その復旧支援を目的として、法人が売掛金、貸付金等の債権を免除する場合には、その免除することによる損失は全額損金の額に算入できます。すなわち、法人税では「寄附金」にする必要はありません。なお、この場合の消費税の課税区分は「課税対象外」となります。
これらの損失の勘定科目としては、「販売促進費」または「雑損失」などを使用すると良いでしょう。
また、既契約のリース料、貸付利息、割賦代金の減免を行う場合や災害発生後の取引につき従前の取引条件を変更する場合も、これらによる損失を全額損金の額に算入できます(法基通9-4-6の2、措通(法)61の4(1) -10の2)。
(3) 取引先に対する低利又は無利息による融資
災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として、法人が低利または無利息融資を行った場合における通常収受すべき利息と実際に収受する利息との差額の損失は、全額損金の額に算入できます。すなわち、「寄附金」にする必要はありません(法基通9-4-6の3)。なお、この場合の消費税の課税区分は「課税対象外」となります。
これらの損失の勘定科目としては、「販売促進費」または「雑損失」などを使用し、通常収受すべき利息の金額を「受取利息」とします。なお、「受取利息」の消費税の課税区分は「非課税」となります。
なお、損失を計上せずに実際に収受する利息のみを「受取利息」と仕訳することもできます。
(4) 被災者に対する自社製品等の提供
不特定または多数の被災者を救援するために、法人が緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は全額損金の額に算入できます。すなわち、法人税では「寄附金」や「交際費等」にする必要はありません(法基通9-4-6の4、措通(法)61の4(1) -10の4)。なお、この場合の消費税の課税区分は「課税対象外」となります。
これらの費用の勘定科目としては、「広告宣伝費」または「雑費」などを使用すると良いでしょう。
では、震災等の災害を受けた個人が災害見舞金等を受けた場合、低利又は無利息による生活資金の融資を受けた場合などの課税関係についてはどうなるのでしょうか?税制において特典が用意されているのでしょうか?
これについては、次回に説明しましょう。
題して、 ≪ 被災個人が受取る見舞金や生活資金の低利融資の課税関係 ≫
http://www.ksc-kaikei.com/
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震災義援金を支払ったときの課税関係と仕訳はどうなるのでしょうか?
以下の記事をご覧ください。
≪ 東日本大震災のお見舞い ≫≪ 「義援金」の 課税関係について ≫
http://www.ksc-kaikei.com/blog/index.cgi?no=88
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震災見舞金や弔慰金を従業員等へ支払ったときの課税関係と仕訳はどうなるのでしょうか?
以下の記事をご覧ください。
≪ 震災「見舞金」「弔慰金」の課税関係と仕訳 ≫
http://www.ksc-kaikei.com/blog/index.cgi?no=90
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◎ 通勤手当の非課税はいくらまで?
自動車や自転車などを使って通勤する場合の通勤手当。通勤距離によって非課税限度額が異なります。いくらか御存知ですか?
非課税となる通勤手当についてお知らせします。題して、
≪交通費や通勤手当、非課税はいくらまで?≫ 基礎編
http://www.ksc-kaikei.com/news/index.cgi?no=85
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税理士・社会保険労務士・行政書士 溝江 諭 KSC会計事務所
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札幌学院大学 客員教授 税務会計論担当(学部)
税務会計論演習担当(大学院)
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今日は 「 震災により被災した取引先への見舞金や売掛金の免除、低利融資などを行なった場合の課税関係 」 についてお話ししましょう。
法人税では、「取引先へ」の一般的な慶弔見舞金の支給の場合は「交際費等」、売掛金等の債権免除や低利融資などの経済的利益の供与の場合は「寄附金」とされ、確定申告の際には、それぞれの損金算入限度額を超える部分の金額は損金不算入となり所得を構成し、税額計算の対象となります。(措法61の4Ⅰ、法37)
では、今回の東日本大震災で災害を受けた取引先に対して、法人がこれらの行為を行なった場合には法人税法ではどのような取り扱いになるのでしょうか。
(1) 取引先に対する災害見舞金等
取引先との被災前の取引関係の維持・回復を目的として、法人が取引先の復旧過程においてその取引先に対して行った災害見舞金の支出、事業用資産の供与等のために要した費用は全額損金の額に算入できます。すなわち、法人税では「交際費等」にする必要はありません(措通(法)61の4(1) -10の3)。なお、この場合の消費税の課税区分は「課税対象外」となります。
これらの費用の勘定科目としては、「交際費」または「販売促進費」などを使用すると良いでしょう。
(2) 取引先に対する売掛金等の免除等
災害を受けた取引先の復旧過程において、その復旧支援を目的として、法人が売掛金、貸付金等の債権を免除する場合には、その免除することによる損失は全額損金の額に算入できます。すなわち、法人税では「寄附金」にする必要はありません。なお、この場合の消費税の課税区分は「課税対象外」となります。
これらの損失の勘定科目としては、「販売促進費」または「雑損失」などを使用すると良いでしょう。
また、既契約のリース料、貸付利息、割賦代金の減免を行う場合や災害発生後の取引につき従前の取引条件を変更する場合も、これらによる損失を全額損金の額に算入できます(法基通9-4-6の2、措通(法)61の4(1) -10の2)。
(3) 取引先に対する低利又は無利息による融資
災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として、法人が低利または無利息融資を行った場合における通常収受すべき利息と実際に収受する利息との差額の損失は、全額損金の額に算入できます。すなわち、「寄附金」にする必要はありません(法基通9-4-6の3)。なお、この場合の消費税の課税区分は「課税対象外」となります。
これらの損失の勘定科目としては、「販売促進費」または「雑損失」などを使用し、通常収受すべき利息の金額を「受取利息」とします。なお、「受取利息」の消費税の課税区分は「非課税」となります。
なお、損失を計上せずに実際に収受する利息のみを「受取利息」と仕訳することもできます。
(4) 被災者に対する自社製品等の提供
不特定または多数の被災者を救援するために、法人が緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は全額損金の額に算入できます。すなわち、法人税では「寄附金」や「交際費等」にする必要はありません(法基通9-4-6の4、措通(法)61の4(1) -10の4)。なお、この場合の消費税の課税区分は「課税対象外」となります。
これらの費用の勘定科目としては、「広告宣伝費」または「雑費」などを使用すると良いでしょう。
では、震災等の災害を受けた個人が災害見舞金等を受けた場合、低利又は無利息による生活資金の融資を受けた場合などの課税関係についてはどうなるのでしょうか?税制において特典が用意されているのでしょうか?
これについては、次回に説明しましょう。
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震災義援金を支払ったときの課税関係と仕訳はどうなるのでしょうか?
以下の記事をご覧ください。
≪ 東日本大震災のお見舞い ≫≪ 「義援金」の 課税関係について ≫
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