問 7年前に父が亡くなり、母国に年老いた母が一人取り残されました。兄弟はいません。幸い私の仕事は順調で母を扶養する位の収入もあります。このような事情ですが母を呼んで日本で一緒に暮らすことはできますか?

答 このような場合、お母さんを日本に呼べるかどうかよりもお母さんがどのような生活を望んでいらっしゃるかということが重要なのではないでしょうか?
仮にお母さんが年老いて病気がちであったとしても、お母さん自身はあなたからの金銭的援助を受けながら(お母さんが望まなくても実際には助かると思います。)生まれ育った故郷で友人たちに囲まれながら楽しくおしゃべりして過ごすことの方を望まれるかもしれません。

そこで、一度日本に親族訪問を目的にして「短期滞在」のビザで呼び寄せてみたらいかがでしょうか?でも、ひょっとしたらお母さんはもう来日経験がお有りなのかもしれませんね。
もしお母さんが日本で長期に滞在することを望んでいるのでしたら、「家族滞在」(配偶者及び子)の在留資格は該当しませんので、しいて挙げれば「特定活動」の在留資格で呼び寄せるしかありません。
但し、この在留資格を認めてもらうためには、厳しい審査をクリアしなければなりません。「特定活動」に該当する活動自体は入管法別表第二と法務省「特定活動」告示に定められているのですが、親に対する「子の扶養を受ける活動」としての「特定活動」に関しては、そもそも入管法が想定していなかったので明確な許可基準が公表されているわけではありません。したがって必ず許可されるとは限らないのです。

ただ、次のような事情がある場合は許可される可能性があるとは思います。
①高齢であること。概ね70歳以上、但し、他に傷病や障害があった場合は70歳未満でも年齢だけ考えると認められることがあるかもしれません。
②母国に他に親の世話をする他の親族がいないこと。ただ、単にお母さんが困窮しているというだけでは日本に招へいする理由にはなりません。日本から送金すればいいだけなのですから。
③あなたにお母さんの扶養能力があること。もちろんあなたに税金の滞納がないことや安定的な収入があること等が必要です。
④お母さんが日本での就労を予定していないこと。

なお、お母さんの「特定活動」は「子の扶養を受けること」が目的なので、「あなたの子(お母さんからみると孫)の世話をすることは、仮にかなり特殊な事情があったとしても認められないことに留意して下さい。