任意後見制度について
成年後見制度には、法定後見と任意後見の2種類があります。
まず、法定後見は、すでに判断能力が衰えている人に対応する制度です。
それに対して、任意後見とは、ご本人がまだ十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自分が選んでおいた任意後見人に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える、任意後見契約を結んでおくというものです。
判断能力がすでになくなっている場合は法定後見、まだ判断能力があるときに手続きするのが任意後見ですので、ここが大きな違いです。
そして、任意後見の場合には、本人の判断能力が衰えたとき、本人や家族が家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申立て、任意後見監督人が選任されると、任意後見契約の効力が生じることになります。
これにより、任意後見人は後見人としての事務を開始し、任意後見監督人は後見人が行う事務を監督することになります。
このように、任意後見契約をしておくと、将来本人の判断能力が低下した場合に、事前に契約で定めた事務について、任意後見人が本人を代理して契約などをすることによって、本人を保護・支援することが可能となるのです。
そして、任意後見には、以下の3つの類型があると言われています。
①即効型:契約締結後に、ただちに任意後見監督人の選任を申し立てる。
②将来型:契約締結後、判断能力が衰えてきたときに、任意後見人の選任を申し立てる。
③移行型:任意後見契約だけではなく、生前事務委任契約を合わせて結ぶ。
このうち③移行型を選択した場合には、ご本人の判断能力がしっかりされているうちは、事務委任契約の受任者として、ご本人の見守りや財産管理等を行い、本人の判断能力が衰えたならば、今度は後見人としてご本人の生活を支えていくことになります。
私は現在、81歳の方と③移行型の任意後見契約をしています。
この方はまだ判断能力がしっかりしておれらますので、現在は生前事務委任契約の段階にあります。