3月11日に起きた震災によって、とりわけ津波によって15,000人を超える方々が亡くなられました。

 私も、そうして家族を失われた方々から相続手続き等についてご相談を受けてきました。

 亡くなられた方が残したものが、プラスの遺産よりも債務の方が多いという場合、相続放棄という手段があります。
しかし、相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に」しなければならない(民法915条)と定められています。

 問題は、家族を亡くされた上、家も何もかも流されてしまった場合に、遺産や債務を確定するのが非常に難しいということです。3ヶ月では、確定どころか、そんな気にもなれないという方が多いと思います。 

 そこで、債務超過の場合は3ヶ月以内に相続放棄→本年11月30日まで熟慮期間を延長する特例法が6月21日に公布・施行(震災によって相続放棄の手続きができなくなった被災者も救済するため、対象は昨年12月11日以降に相続が始まったことを知った相続人とする)されました。

 ただし、この 特例法が適用されるためには、相続人が東日本大震災の被災者であることが必要。被相続人が被災者であるか否かは、関係ありませんので、ご注意ください。

 なお、 3・11に宮城・福島・岩手県に居住していた人はすべて、「東日本大震災の被災者」に含まれます。

相続人の範囲など、もっと相続のことを知りたい方は、「相続安心マニュアル」をお読みください。