ある方の夫が、亡くなられる前に遺言書を遺していました。
この遺言書は、すべて自筆で、日付も書かれ、印鑑も押されていましたので、形式的には自筆証書遺言として有効なものでした。
ところが、その内容は「妻に私の財産をすべてあげる」というもので、財産の中身が特定されていませんでした。

遺言書においては、たとえば不動産の地番等、その財産を特定する記載が必要ですし、「あげる」という表現も問題になります。
結局、この遺言書を使って不動産の相続手続き(名義変更)はできないので、遺産分割協議書を作ることになりました。

遺言書がない場合は、相続手続きのために遺産分割協議書を作るのが通常です。

しかし、このご夫婦には子どもがなく、ご両親も兄弟姉妹もすでに他界されていたため、妻の他には、7人の甥・姪が法定相続人でした。
ばらばらに居住する8人の方が署名・押印する遺産分割協議書を作成するのがなかなかたいへんなことは想像がつくかと思います。

子どもさんがいない場合は遺言書を作っておく、しかもしっかりした内容のものを作成することが、後々のトラブルを防止することになります。

遺言書の作り方について知りたい方は、「遺言書安心マニュアル」をご覧ください。