BNIという組織がある。いまはやりの異業種交流会の恒常的な組織である。正式名称を「Business-Network-International」という。たまたま知人を介して、この組織を知ることとなった。掲げるモットーは「Givers Gain」である。これは「与える者は得る」という意味か。似たような標語では、「Give and Take」というのがあった。また「損して得とれ」という日本の諺もある。但し「求めよ。さらば与えられん」というのは、意味が違ったかな。
 今まで「Give and Take」という言葉は、散々聞かされてきた。また自分なりに判った積りでいた。だがなかなか思うようにはいかない。「Takeは取る」である。「取る」という語感には、どうしても自分が取ってきたという感じが付き纏う。「Gainは得る」である。流れとしてそうなるというニュアンスがある。
 これまで自分は、自分の仕事については、様々に営業活動を行ってきた。しかしどうも旨くいかない。一番多く行なったのは、ダイレクトはがきの差出である。ひと頃面白いようにオファーが来た時期があった。だがそれも4~5回続いた後に、あるミスをしたら、そのあとバッタリ途切れてしまった。そのミスとそのあとのオファーとの間には、何の因果関係もないはずなのに。野球と同じように、流れとしてはそうなる。それが普通なのであろう。
 「これは葉書を出す頻度が足りないのかな」「書き方が悪いのかな」「出すお客さんの選び方が良くないのかな」と悩みながら、さらに業種ごとに違うはがきを出したりして、これでもかこれでもかとばかりに、ひたすらはがきを数多く差出すことに熱中した。
 だがBNIの考え方は違うのである。ここに入ってハタと気付かされたのは、まずは自らが先に紹介する、オファーを出すということである(リファランスという)。これについてのノルマらしきものまである。他にもこの組織には、「毎週2時間ほどのミーティングの欠席は、半年に3回まで」という厳しい条件がある。ここにきて遅まきながらやっと覚ることができた。営業のやり方の差異、優劣などではなく、そもそもの発想から変えていかなくてはならなかったのだ。まさに「目からウロコ」とはこのことか。
 だが以上については、最初は頭の中では理解できても、そんなリファランスなんてどうやって出すのだろう、自分のしてあげられることなど多寡が知れているのにと、途方に暮れるばかりだった。だがこれも発想の貧困さのなせる技だったのだ。例えば、BNIには「花粉症を治療します」という人がいる。そのアピールに対しては、「自分は花粉症の症状がないから関係ないや」と、スンナリ聞き流してしまっていた。つい2,3日前にも「花粉症でつらい」という人に、2人ばかり会っていたにも係らずである。友人を紹介するという道があったではないか。うーん、一事が万事である。発想というか、気付きというか、その転換が大事だということを、日々思い知らされて格闘している毎日である。