もうかれこれ7~8年も外反母趾に悩まされている。だが外反母趾に気付いたのは、ほんの偶然からだった。それまでは爪水虫の治療に皮膚科専門の単科医に治療に通っていた。そこは単科医であるにも関わらず、患者が引きも切らず賑わっていた。そこでは、医師、看護師とも患者に親切で、水虫の足だろうが、白衣の膝に抱えて丁寧に薬を塗ってくれる。それだけで患者は感激し、いずれ治るという気になってくる。
 そのころ、つい3か月の間に、足の指があれよあれよという間に変形してしまった。足の親指の付け根が内側に出っ張り、指先が外側に曲がってきた。水虫の治療に通っていたそこの院長先生も「変だな。変だな」と言いながら、丁寧にその出っ張りに薬を塗ってくれていた。3カ月ほどたったある日、たまたま診察が女医さんに回ってきた。女医さんは、一目見るなり「何よこれ。外反母趾じゃないの」との診断を下した。この診断はショックだった。それまで、外反母趾には、ハイヒルを履いているいる女性がなるものとばかり思ってきたからだ。
 その診断のあとも、病状は進行した。整形外科医を紹介してくれたものの、思ったほど治療は進展しなかった。外反母趾になる身体的メカニズムは、まだよく判っていないようである。骨というよりは、筋肉に不自然な力が加わったり、ベタ足の人がなりやすいということぐらいか。思い当たることといえば、ここ半年ぐらい、やや重いものを持って、福岡、高松、広島、大阪などの入管へいくようになったせいか。友人とダンスを習いに行ったせいかなと思って、調べたらこの方は1年半前に三日坊主で辞めてしまったので、関係がないようである(日舞が重心の移動は滑らかに行うのに対して、洋舞は重心の上下動が激しいので、外反母趾にはよくないと言われている)。そのうち重いものを持ったり、長い距離を歩くと、足がひどく痛むようになってきた。とりわけ両足の中指の付け根が痛むようになって来た(モルトン氏病という)。さらに「巻き指」と言って、足の中指が尺取り虫のように曲がってきた。また足の裏にたこや魚の目ができるのも、歩き方が正常ではないという。
 これは大変だと、あちこちの整形外科医を訪ねてみたものの、診断はあまりはかばかしくは進まなかった。口幅ったい言い方になるが、どうも西洋医学は筋肉を鍛えるなどには、適さないようである。精神科医と整形外科医に関しては、医師によって言うことがまるで違う。どうもこの二つの科はまだ未成熟なのであろうか。ある整形外科医は、患部の足も見ずに、ビタミン剤と筋弛緩剤をよこすだけだったり(これは定番の治療だ)、ある整形外科医は「これは手術するしかないな」と言ったりした。冗談ではない。手術の成功率は70~80%というではないか。残りの20~30%のうちに入ったらどうしてくれるのだ。孔子の言にもある。「身体髪膚これを父母に受く。敢えて毀傷せざるは孝の始めなり」と。
 こうしてあちらこちら回った末に、何となくいまは治癒とまでは行かないが、小康状態を保っている。その中には整形外科医も入っているが、何人かの医師から聞いた処方がある程度適合しているのかなという気がする・中でもK整体師の情報がかなり当たっているような感じがする。因みに整骨師は柔道整復師とも言い、国家資格で保険適用なのに対して、整体師にはこれらの規制がない。長くなるので、そこからヒントを得た何点かを列挙すると、①毎日2回ほど、5分ずつぐらい、両足をマッサージする。両手で足の裏と足の平を挟んでやる。②厚手の伸縮性のある包帯を足指に巻き付けて歩く。③3本指のソックスを履く(5本指は効果がない)。④靴はひも靴とし、靴底で足が滑らないようにする。⑤靴の中敷きは絶対必要。⑥足の着地は、足全体で行うなどである。お試しあれ。