2008年 10月の記事一覧

«Prev1Next»
08年10月27日 17時48分36秒
Posted by: ariake
自筆証書遺言の検認手続の当事者は

申立人たる相続人、その他の相続人

家事審判官(裁判官)、裁判所書記官
です。

まず、最初に出席者の確認をし、家事審判官が

申立人に遺言書発見状況などについて質問します。

続いて、家事審判官が遺言書を開封して内容を

読み上げます。

この時、申立人や出席している他の相続人に

遺言者の筆跡や内容を確認しますが、

出席者がその内容を否定したとしても

検認手続には影響しません


家庭裁判所でコピーを取って、原本は申立人に

還付され、検認証が交付されて手続きは終了です。


内容に争いがあっても、検認手続ではタッチせず、

別途、調停(家庭裁判所)や訴え(地方裁判所)の

手続の案内がされるだけです。


08年10月16日 18時21分27秒
Posted by: ariake
自筆証書遺言は、相続発生後、執行前に、

家庭裁判所における「検認」手続が必要です。

「検認」という手続は、遺言書の内容が適法か違法か、

あるいは、有効か無効かを決定するものではなく、

遺言書の状態を確認して、執行前の偽造・変造を

予防するだけの意味
しかありません。

したがって、内容については相続人間で相互に確認する

必要があります。


ちなみに、家庭裁判所から各相続人宛てに、

検認の「期日通知書」というものが送付されて来るのですが、

それには・・・

『申立人以外の方は、立ち会われなくても結構です。

立ち会えなかった方で、遺言書の内容を知りたい場合には、

後日、申立人に問い合わせてみてください。』

という、まるで他人事のような文章が書かれています。


『あとは、そちらでやってください』・・・ということですね(。。)
08年10月12日 13時07分00秒
Posted by: ariake
遺言の中で、財産を特定の相続人に承継させる旨の

表現はいくつかありますが、

例えば、

「横浜市西区平沼1丁目1番地の土地は、

松本康二にやることにして下さい。」


という表現をした遺言は、遺贈となるのか

それとも、遺産分割方法の指定となるのか?


一般的には、このような表現は遺産分割の指定
と解されています。

これに対して、「…を松本康二にやる。」または、

やることにする」という表現であれば

遺贈となるようです。


どちらにしても、その土地が指定された相続人に承継
されるので、形式なんか意味がない!と思われる方も

いらっしゃるかもしれませんが、

遺贈となるか、遺産分割の指定による相続となるかで

所有権移転登記の登録免許税が大きく異なってきます。


例えば、

評価4000万円の土地を相続を原因とする所有権移転登記の

登録免許税は、4000万円× 4/1000=16万円 

ですが、

遺贈による場合は、4000万円× 20/1000=80万円

となります。


ちょっとした表現の違いで、相続にかかる費用に大きな違いが出てくる

ということもありますので注意したいものです。
08年10月08日 10時19分00秒
Posted by: ariake
遺言で相続分や遺産分割の方法を指定をする際、

「遺留分」に気をつけないと相続発生後にトラブルに

なることがある…と前に書きました。


では、遺留分の前提になる「法定相続分」については

どのように定められているのでしょうか


民法第900条に規定があります。

 ≪相続人≫          ≪法定相続分≫

 配偶者+子          配偶者1/2 子1/2

 配偶者+直系尊属      配偶者2/3 尊属1/3

 配偶者+兄弟姉妹      配偶者3/4 兄弟姉妹1/4



ただし、上記は昭和56年1月1日以降の相続についてのみ適用され、

昭和22年5月3日から昭和55年12月31日までの相続については

以下のようになります。


 ≪相続人≫          ≪法定相続分≫

 配偶者+子          配偶者1/3 子2/3

 配偶者+直系尊属     配偶者1/2 直系尊属1/2

 配偶者+兄弟姉妹     配偶者2/3 兄弟姉妹1/3


これから起こる相続に、なぜ昭和55年以前の相続分規定が関係あるのか?

疑問に思われる方もいらっしゃると思います。

二次相続」という言葉をお聞きになったことはありませんか?

例えば、昭和55年10月8日にお父さんが亡くなったとします。

そして、平成20年10月8日にお母さんが亡くなったとします。

お父さんが亡くなったときに、遺産分割や相続登記をしていなかった

場合、昭和55年に遡って遺産の分割をする必要が生じる可能性が

あるのです。

実は、意外にこのようなケースは多く、私が相談を受けたケースでは

四次相続!?まで、何も手続をしていませんでした。


ちなみに、昭和22年5月2日以前は

法定家督相続人』のみが相続人となるのが原則でしたが、

日本国憲法が昭和22年5月3日に施行されるのに伴い、

平等原則に反することになるため、適用されなくなりました。

相続分もそんなに簡単ではありませんね。
08年10月05日 11時50分00秒
Posted by: ariake
前回、遺言と遺留分について少し説明しました。

分かり易くするため簡単な設例を使ったのですが、

実際は、もっと複雑です。

ただ、以下のような算定方法にあてはめれば間違いない

と思いますので、ご紹介しておきます。


遺留分侵害額の算定式」(最判平成8年11月26日参照)

(現存遺産額+贈与財産額-相続債務額)×遺留分

-特別受益財産額-相続財産額+遺留分権利者負担債務額

とはいえ、上記の内容を理解するのもひと苦労。

遺言は、簡単ではありません。


08年10月01日 09時19分00秒
Posted by: ariake
遺言を書くときに、まず悩まれるのが

「遺言の方式」ではないでしょうか?


「自筆証書遺言」の場合、

手軽に書けるし、書き換えたい時にいつでも書き換えられる

という点が長所ですが、

前回書いたように、専門家に内容をチェックしてもらわないと

思った通りの効果が期待できなかったり、

要件が不備で「無効」になったりというリスクがあります。


一方「公正証書遺言」の場合、

公証人が内容を確認しますから、

「無効」になることはありませんし、

法律家によるチェックが入るので安心ですが、

最低でも3万円から5万円くらいの費用がかかる上、

書き換えたいときも、改めて公正証書を作成しなければならないので、

その度に費用と公証役場へ行く手間がかかる点が短所です。


どちらも一長一短あるのですが、

いずれにせよ、法律的なチェックが必要なのですから、

思い切って専門家(弁護士・行政書士)に相談して

自筆証書遺言の起案を依頼して、同時に保管も頼んでしまう方が、

かえって確実かつ安上がりだと思います。

そうすれば、書き換えたい時も公正証書よりも簡単かつ

廉価ですから。
«Prev1Next»