後見制度利用の対象者は,今までに述べたように「精神上の障害により」「事理を弁識する能力」が十分でない人となります。

平成11年に民法が改正される前は後見制度に変わる禁治産者,準禁治産者制度がありました。この制度では単なる浪費者に対しても,準禁治産者として保佐人をつけることで保護する制度でした。

ただし,改正前の状況でも改正後の状況でも身体のみの障害の人は対象とはなっていません。

これは,身体のみの障害のある人の場合,自身で法律行為をすることが可能であり,自己決定権を重視したからです。

ただ,身体に重度の障害があり,財産の管理や,介護等の契約を自分で行うことが困難な場合があります。

その場合,信頼できる第三者との間で財産管理等委任契約,身上監護契約を締結することで,その第三者が本人に変わって財産管理等を行うことができます。

ただし,後見制度と違って,財産管理等委任契約は契約相手の第三者を監督する者がいません。なので,信頼できる第三者の選任が重要です。

また,財産管理等委任契約書を公正証書にするなどし,公の証明をとっておくことも必要でしょう。

若干,費用も必要ですが,行政書士等の専門職に頼むことも有効といえます。