子どもが生まれた約半年後に夫婦は結婚しました。

経済的に自立できないので,夫婦ははじめ,夫の両親から仕送りを受けながら生活していました。しかし,いつまでもそれではいけないと,夫の就職をして,それを機に,仕送りを断り,経済的に独立することなりました。

しかし,他人に頼った生活が長すぎたのか,就職は長続きせず,二人の生活は,またすぐに困窮を極めることになってしまいます。

もう少し,大人,いや親としての自覚が必要なのでしょうが,なかなか親としての役割を自覚することができないようです。

それでも,夫婦生活を続けていた二人の間に二人目の子どもが生まれます。これで一念発起するかといえば,そうではなく,相変わらず夫は仕事が長続きせず,生活費は妻が内職をして稼いでいる状態でした。

もちろん内職のみの収入で,2人の子どもの養育を続け,さらに家で何をすることもなく過ごす夫の面倒をみることはできません。そこで,妻は水商売で生計を立てることにしました。

夫は反対し,自分が働くというかと思えば,よろこんで賛成しました。それでは自分は家事,養育をがんばるかと思うと,そうではなく,子どもの面倒を見ようともせず,だらだらとした生活を続けていました。

その様子を聞いた夫の両親は,ふがいない自分の息子に愛想を尽かし,子どもたちを自身の家に連れて帰ることにしました。自分たちの息子を教育するよりも,自分たちの息子による悪影響を恐れ,孫を教育するほうを選んだということでしょうか?

それでも夫の生活態度は全然変わることはありません,がんばってきた妻もとうとう愛想を尽かし,別居を決意しました。

少しは,心に波が立ったのか,夫はいったん仕事に就きます。しかし,長い間の生活で体に染み付いてしまったなまけ心はなかなかぬぐえず,仕事をすぐにやめてしまいました。

そして,妻の別居などの行動に対して,自身のことを反省するどころか,女を作ってみたり,離婚をほのめかしたり,妻が離婚に応じそうになると,これを撤回したり,妻に対しての嫌がらせを続ける始末。

さらに,夫は別居をした妻に対する報復として,行方をくらましました。そして,妻に対して反省するよう強制する等の手紙を送り付け,その中で,行方をくらました理由として,妻からの離婚の請求を不可能にさせるためであると伝えてきたのです。

もう,手のつけようのない夫の態度です。大人になれない,そうではなく子どものまま,いや,かなり性質の悪い性格と言っていいのではないのでしょうか?

そして,ついに妻は訴訟を決意しました。裁判所はこれらの夫の行動をどう判断したのでしょう。

この場合,裁判所は夫の勤労意欲の欠如や,それに加えて夫婦共同生活を営もうとする意思の欠如を認定して,婚姻を継続しがたい重大な事由であるとして,妻の離婚請求を認めました。

当然といえば当然なのかもしれません。