先日、仙台市内のある区役所において、相談員をしてきました。

私が担当して受けた相談で、相続に関するものが一つありましたので、紹介します。

この方は、先日お兄さんを亡くされ、そのお兄さんが所有していた財産の相続手続きをしたいとのことでした。

問題は、このお兄さんの相続人になるのが、兄弟姉妹6人と、すでに亡くなった兄弟姉妹の子どもたち(今回の被相続人から見れば、甥・姪に当たる人たち)8人で、合計14人に上ることです。

これは、このお兄さんがご結婚されておらず、またすでにご両親も他界されていたため、法律の定める相続人が兄弟姉妹(兄弟姉妹がすでになくなられている場合は、その子どもたち)になるからです。

しかも、今日とは違い、昔の日本は子だくさんでした。そうすると、今回のように結婚されていない方が亡くなった場合に、法定相続人が10人以上に広がってしまうことが、実際に起きてしまうのです。

いくら相続人の数が多くても、不動産等の相続手続きをするには、遺産分割協議書に法定相続人全員が署名・押印することが必要です。

十数人の相続人がいると、中には「もっとお金をくれなければ判は押さない」と言う人が出てくる可能性が高くなります。

無事に相続手続きを終えるのは、なかなか大変です。

このようなケースでは、ご本人が生きていらっしゃるうちに、遺言書を書いて、自分の財産をあげたい人に渡すようにしておけば、手続きも簡単にいくのですが。

遺言の普及が望まれるゆえんです。