順序がトランプと逆になってしまったが、菅内閣の発足は、これまでの安倍政治のモリカケ、サクラなどといった恥部を隠蔽しようとする狙いからではないか。そのためには、これまで7年8か月にわたって安倍政治の恥部を隠蔽してきた菅官房長官を押し立てる以外にない。その隠蔽の狙いは、とりわけ二階自民党幹事長が菅首相へという音頭を取ったことではっきりする。多分二階幹事長には、河井夫妻に他候補の10倍の選挙資金(1億5千万円)を提供した責任があるのだろう。だから何が何でもこの事実を隠蔽したかったに違いない。「庶民派」「無派閥」などと、菅首相をほめそやす声がマスメディアの一部にあるが、とんでもないことである。菅のような「庶民派」はいない。菅は早くも日本学術会議会員6名の選任拒否という形で、その本性を現わしているというべきか。この6名の除外について、菅首相は「総合的」「俯瞰的」に選んだという以外の理由を示しえていないが、要するに「内閣の決定したことには黙って従え」ということなのだろう。こういう決定に黙々と従っていると、それこそ戦前の大本営発表通りに黙って従っていくということになってしまう。
 一体この内閣のコロナ対策ほど、場当たりでいい加減なものはない(最初の経験だからやむを得ない面があるとはいえ)。最初の横浜沖クルーズ船の上陸不許可、閉じ込め策から始まって、3月下旬に安倍首相の提唱で誰とも相談なく唐突に開始された一斉休校など、未だに検証されていない。一斉休校は果たしてよかったのか、悪かったのか。子どもの両親に責任を押し付けただけではないのか。また7月にGoToトラベルから東京を除外したのは、外ならぬ当時の菅官房長官だった。だがこのGoToトラベルこそが、各地方にコロナビールスをばらまいてしまった可能性がある。北海道、大阪、愛知など軒並みに感染者が爆発的に増大している。一定程度の景気振興策が裏目に出てしまった態である。この点について、日本医師会の中川会長は「関係者が増えたタイミングから考えると、GoToトラベルがきっかけになったことは間違いない」と述べている。一方加藤官房長官は、「移動自粛は必要ない」とこの期に及んでも平然と陳述している。昔からある「暴政は虎より恐ろしい」という格言が当てはまりそうな雲行きである。