少し前(H19.4月)の話です。

英会話教室NOVAの、中途解約による授業料返金訴訟でついに最高裁判所が判断を下しました。

以下、簡単に概要を説明します。(金額や回数は説明しやすいように改変してあります)

N=事業者、つまりNOVA 、 A=受講者、つまり今回返金訴訟を起こした人

N: 1000回券80万円、500回券50万円で販売している。
A: 1000回券を購入、前金で全額支払い済み。その後、500回の授業を受けた後に解約を申し出る。
N: 500回の授業料は50万円なので、差額の30万円から中途解約違約金5万円を差し引いた25万円を返金。なお、この返金額の計算方法は契約書に明記してある。
A: 80万円の半分の40万円から中途解約違約金5万円を差し引いた35万円を返すよう求め、裁判に。
最高裁: 「35万円を返金せよ」と判決を出す。


どのように感じられたでしょうか?
正直私は「?」でした。これだけ見るとNOVAの言い分のほうが理にかなっているように思いました。


英会話教室は「特定継続的役務提供」と呼ばれ、特定商取引法(特商法)で規制されています。特商法は消費者の保護が最重点におかれています。
たとえば、中途解約による違約金は残額の20%もしくは5万円の小さい方の額を上限とします。

この特商法の趣旨からいうと、25万円しか返金しないとする契約に「合理的理由が無い」というのが最高裁の判断です。

私的には、「合理的理由のような気がする」のですが・・・


ところで、判決の資料によると購入ポイント数と、1回あたりの受講単価は、
600p、1200円
500p、1350円


50p、3000円
25p、3800円
となっています。(1pで1回の受講が可能)
この料金体系から「長期契約の割安感を訴え、できるだけ長期契約を取ろう」という意図が読み取れます。
最高裁がこの料金体系(および長期契約を迫ること)に言及し上記判決が出たのなら納得はできるのですが、判決文からそこまでは読み取れません。

なにはともあれ、特商法はそれまで消費者が泣かされるケースの多い取り引きを規制するものですから、法律の趣旨どおり、消費者の保護がはかられてめでたしめでたし、なのかも知れません。

・・・

しかし、どうしても腑に落ちないことを1点。
Aさん
 この教室が自分に合うか判らないから、とりあえず25pではじめよう。割高なのは仕方が無い。
Bさん
 1回の受講料に3倍以上差があるのだから、600pを購入しないと損!

そして、25回の受講終了後、A,B共に英会話教室をやめる。
結果、先のことを見据えて行動したAさんが損しました。

Aさんの支出:3800×25=95000円
Bさんの支出:1200×25+50000=80000円
その差額15000円なり

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特定商取引法の規制の中での判決です。これが物品販売などでしたら、この判決は無いでしょう。
客:『1個10000円の品、100個まとめて買うから値引きしろ!」
店:『では1個9500円に値引きいたします』
その後・・・
客:『やっぱり1個だけしか買わない。はい、代金の9500円』

みたいな事は認められないでしょう。