経営事項審査申請での審査項目

総合評定値(P)=0.25X1+0.15X2+0.2Y+0.25Z+0.15W(小数点未満の端数は四捨五入)

X1
 工事種類別年間平均完成工事高の評点
X2
 自己資本額および利払前税引前焼却前利益にかかる評点
Y
 経営状況分析の評点
Z
 技術力の評点
W
 その他の審査項目(社会性等)の評点「経営規模」
 
今回は、X1(完成工事高) X2(自己資本額(利払前税引前償却前利益の額))を見ていきます。
 
1. 完成工事高(X1)について
適正な利益を見込める工事を多く受注する
昨今の建設業の受注環境の厳しさを踏まえ、新経審では完成工事高のウエイトが35%→25%に引き下げられました。今改正では適切な利益を確保できる優良な工事を受注していることが必要とされており、従って完成工事高の増加が必ずしも総合評定値のアップにつながりません。赤字工事を多く受注し完成工事高を増やしても、利益額項目でマイナス評価されるので結果、総合評定値はアップしません。
 より多くの利益を確保するための創意工夫が求められます。
 工事進行基準について 通常、建設工事は工事が完成し発注者に引き渡された時点で、初めて売上に計上される工事完成基準が原則です。
 しかし、期末未成工事の評価方法を工事の進捗状況に応じて売上に計上する、工事進行基準に変更することができれば、完成工事高を増やすことが可能になります。
 
2. 自己資本額及び平均利益額(X2)について
 新経審ではウエイトが10%→15%に変更された上に評点の上限も大幅に引き上げられました。
加えて「利払前税引前償却前利益」の2年平均が新たに採用され、大幅に重要度が増しました。
 ただ、この項目は短期的な評点アップが難しく、中長期的な観点で取り組む必要があります。

自己資本額は絶対額で評価される
 旧経審では自己資本額は年間完成工事高との比率で評価されてましたが、新経審では絶対額で評価されます。
 自己資本額が大きいほど評点が高くなります。
 自己資本額を大きくするために増資する方法もありますが、利益を多く蓄積した強い経営体質であることが求められます。
 自己資本額が少ないと経営状況分析(Y)でもマイナス評価となってしまいます。

新評価項目の平均利益額
 「利払前税引前償却前利益」とは営業利益に減価償却費を加えた額のことです。
 この額の2期平均(激変緩和措置は適用されません)を平均利益額と言います。
 この額が大きいほど評点が高くなります。旧経審では固定資産を持つことは大きなマイナス要因でしたが、新経審では減価償却が大きければ平均利益額も大きくなりますので、建設機械の設備投資がしやすくなったと言えます。