この夫婦は見合い結婚でゴールインしました。

見合い後に,交際を始め,1年の交際の後,見事ゴールイン。そして,普通の夫婦として当たり前に,新婚旅行へ1週間以上の日程で行きました。しかし,交際中も,新婚旅行中も一度も性交渉はなかったというのです。

実際には後に,配偶者が性交不能の状態であることがわかりました。しかし,婚姻に際し,配偶者側から性交不能であるといった告知は一切なかったのです。

性交不能という事実を明らかにすると婚姻するにあたって,不利な情報となる。そう思うことは致し方ないでしょう。

しかし,婚姻は相手のあること。さらに,両性の合意が必要なこと。相手がこの件をどう受け止めるのかを確かめなかったのは,相手への配慮に欠けていると言われても仕方がないのかもしれません。

そこで一方の配偶者側から「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たるとして離婚請求がなされることになりました。

裁判所の判断では結婚当時,当事者同士の中で性交渉を重視しないなどといった別段の取り決めがあるわけでなく,性交渉の有無は婚姻の重要な要素であるとして「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するとされました。

また,性交不能を告げなかった点は信義則に照らし違法であるとして,慰謝料の支払いを命じました。

裁判所も婚姻は両性の合意。協力があって成り立つものという立場なのでしょう。