2007年 11月の記事一覧

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07年11月30日 11時41分13秒
Posted by: shigyo
 本来相続人であるのに、相続権が奪われる制度として「廃除」があります。
1 相続人としての適格性を当然に否定されるほどの重大な事由はないが、
  被相続人からみて推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者)
  に自分の財産を相続させたくないようなことが起こり得ます。
  このような場合に、その推定相続人が第3順位の兄弟姉妹であれば、彼らには
  遺留分(被相続人の一定の近親者に留保された相続財産の一定割合であり、
  被相続人の生前処分又は死因処分によって奪うことができないもの)が認めら
  れていないから、被相続人は生前の財産処分又は遺言によって、彼らに財産が
  行かないようにすることができます。
  しかし、推定相続人が直系卑属(子や孫)・直系尊属(父母や祖父母)あるいは
  配偶者である場合には、これらの者に遺留分が認められているため、生前処分
  や遺言によって相続の利益を全て奪ってしまうことはできません。
  そこで、これらの者から相続権を奪うために設けられたのが、推定相続人の廃除
  の制度です。
2 廃除原因は、(1)被相続人に対する虐待、(2)重大な侮辱を加えたこと、(3)推定
  相続人にその他の著しい非行があったときです。
  このような場合、被相続人は家庭裁判所にその推定相続人の廃除を請求すること
  ができます。
3 この廃除は遺言によってもすることができるだけでなく、いつでも廃除の取消しを
  家庭裁判所に請求することができます。
07年11月29日 11時02分37秒
Posted by: shigyo
1 相続人に関して注意しなければならないのは、「胎児」は相続については
  既に生まれたものとみなされ、相続権が認められるということです。
  また、胎児は代襲相続についても、既に生まれたものとみなされます。
2 相続に関して不正の利益を得ようとして不法な行為をし、またはしようとした
  者に相続させることは、法律感情の許さないところである。そこで、刑罰とは
  別に、民法でもこれらの者から相続権を剥奪して、相続人となることができ
  ないものとしています(相続人の欠格事由)。
 (1)故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡
   するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
 (2)被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者
   ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは
   直系血族(祖父母・父母・子・孫などです)であったときは、相続権は認められま
   す。国家の刑罰権よりも家族感情の方を重視したのですね。
 (3)詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、
   又は変更することを妨げた者
 (4)詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、取り消させ、又は
   変更させた者
 (5)相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
   判例上、遺言書の破棄隠匿が、相続に関する不当な利益を目的としない場合
   は、相続欠格事由に当たらないとされています。
07年11月28日 11時18分07秒
Posted by: shigyo
1 被相続人の子は、相続人となります。
  では、被相続人の子が相続の開始以前に死亡していた時はどうでしょう。
  この場合には、代襲相続といって、その者の子が相続人となります。
  そして、代襲者も、相続の開始以前に死亡していたときは、再代襲して
  その者の子が相続人となります。
2 被相続人の子及び代襲者がいない場合には、被相続人の直系尊属(父母、
  祖父母等)、被相続人の兄弟姉妹がこの順序で相続人となります。
  そして、兄弟姉妹が相続の開始以前に死亡していた時は、その者の子が
  代襲して相続人となります。兄弟姉妹の代襲はここまでで、再代襲はありま
  せん。甥・姪まででストップです。
3 被相続人の配偶者は、常に相続人となります。
  そして、子あるいは直系尊属ないし兄弟姉妹が相続人となるときには、これら
  の者と同順位で相続人となります。
07年11月27日 11時17分35秒
Posted by: shigyo
 今日から相続関係の記事にしたいと思っています。
 皆さんご承知のように、相続人は相続開始の時から、被相続人の「財産上の
法律関係」を当然かつ包括的に承継します。
 承継するのは、財産上の法律関係ですから、「被相続人の一身に専属したもの」
は相続の対象になりません。例えば、委任者・受任者たる地位や代理における本人・
代理人たる地位などは、個人的信頼関係に基づいているため、相続の対象とはなら
ず、当人が死亡すると委任関係や代理関係が終了するものとされています。
 このように法の明文がなくても、身元保証人の地位や財産分与請求権、扶養の権利
義務なども、一身に専属するものとされ、相続の対象となりません。
07年11月26日 10時40分40秒
Posted by: shigyo
 紛争解決手続代理試験が土曜日に終わってホッとしている。
 特別研修の修了が受験資格になっているため、この2ヶ月余り
 体力的にも時間的にもキツかった。
 試験が終わったら、あれもやろうこれもやろうと思っていたけど、
 すぐには集中できない。
 何日かの空白の期間を置いて、エネルギーを充電してから
 取り掛かることにしよう。
07年11月22日 11時23分17秒
Posted by: shigyo
 治癒の概念はそれぞれの場面で異なる。
 例えば、労災保険上は、「症状が安定し、疾病が固定した状態にあるものをいい、
治療の必要がなくなったもの」であるとされる。
 私傷病により休職していた者が、復職をする場合、会社は主治医や指定医の診断
をもとに職場復帰が可能かどうか、すなわち治癒したかどうかを判断する。
 ここにおける治癒は、「従前の職務を通常の程度に行える健康状態に復したとき」と
解されている。この考え方によれば、従前の職務より軽度な職務は行えるが、従前の
職務を行うには困難である場合には、治癒したとはいえないことになる。したがって、
会社は復職を認めなくてもいいということになる。
 これでは、労働者の雇用の維持が失われる。
 ここにおいて、最高裁の画期的な判例が出ました(最判H10,4,9)(片山組事件)
 「職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結し、現場監督業務に従事していた労
働者がバセドウ病に罹患し、現場監督業務に従事することは不可能であるが事務作業
は行える場合に、会社が自宅治療を命じ、その間の賃金等を支給しなかった事案」につ
いて、「労働者が職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合において、現に
命ぜられた特定の業務についての労務提供が十全にできないとしても、能力、経験、地位、
企業規模、業種、労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置さ
れる現実的可能性があると認められる業務について労務の提供をすることができ、かつ
申し出ている場合には債務の本旨に従った履行の提供があると解すべきである。」
 この判例は、治癒したかどうかの問題とせず、現実的配置可能性の業務の有無を問題と
していることに注意が必要です。
07年11月19日 10時48分26秒
Posted by: shigyo
 労基法41条により、労働時間・休憩・休日の法規制の適用が除外される
管理監督者の範囲については、法律上の定義はなく、解釈に委ねられて
いる。
 行政通達によれば、管理監督者とは、一般的には部長、工場長等労働
条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者を
いう。名称にとらわれず実態に即して判断されます。
 したがって、企業が人事管理上の必要から任命する職制上の役付者の
すべてが管理監督者となるのではありません。
 職制上の役付者のうち、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を
超えて活動することが要請されざるを得ない重要な業務と責任を有し、
現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないような立場にある者に
限り管理監督者と認められます。
07年11月15日 10時42分00秒
Posted by: shigyo
 昨晩、NHKで月探査衛星「かぐや」から送られてきた映像を放送していた。
 無数のクレーターはともかく、月から見た日の出ならぬ地の出には感動した。
 丁度太陽が上がってくる日の出のように、青い地球が少しずつ上がってくる様は
 まさに幻想そのものだった。
 暗黒の宇宙にポッカリ浮かんでいる地球を見て、同じ惑星の中で国と国が戦争をし、
 また一国の中で民族同士が争いをしていることは、何と愚かなことであろうかとつくづく
 思った。
 アメリカが月面着陸をしてから、月へのイメージが変わりつつあるが、地球を外から見る
 ことができるようになったことは、グローバル思考への転換にとってまたとない機会であろ
 うと思う。
07年11月14日 11時08分07秒
Posted by: shigyo
  6ヶ月とか1年とかの有期雇用契約であっても、何度も更新をして期間の定め
がない契約と実質的に異ならない状態になっていたり、労働者に更新について
合理的期待がある場合には、解雇法理(労基法18条の2)の類推適用があり、
客観的な合理性と社会通念上の相当性がなければ、解雇は権利の濫用として
無効になります。
 そこで、有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準が厚生労働省
により告示として定められ、平成16年1月1日から施行されています。
1 有期雇用契約の締結に際しては、期間満了後の契約更新の有無を明示する。
2 契約を更新することがあるときは、更新する場合、更新しない場合の判断基準
 を明示する。
3 1,2を変更する場合は速やかにその内容を明示する。
4 1年を超えて継続勤務している者を更新しないこととする場合には、期間満了の
 30日前までにその予告をする。
5 4の場合に労働者が更新しないことの理由の証明書を求めた場合には、遅滞なく
 これを交付する。
6 契約を1回以上更新し1年以上継続勤務している者の有期契約を更新する場合は、
 契約の実態や労働者の希望に応じて、契約期間をできるだけ長くするよう努める。
07年11月13日 14時46分30秒
Posted by: shigyo
 退職には、労働者の一方的意思表示による辞職と、会社の承諾によってはじめて
効力を生じる合意解約の申込みというものがあります。
 一般には、前者は退職届、後者は退職願と言われていますが、厳格には分別され
ていないようです。
 この二つは、退職の意思表示の撤回可能時期、つまり一度退職の意思表示をした者が、
いつまでそれを撤回できるかに違いが生じます。
 前者であれば、解雇の意思表示と同様、単独行為としてその意思表示を撤回することは、
原則として許されません。
 後者の場合、合意解約の申入れに対する承諾の意思表示がなされるまでの間は、原則
として撤回することができます。問題は、どの時点で承諾があったといえるかなのです。
 判例では、退職願を受領する権限を有する者の受理によって承諾が行われたものと解さ
れています。したがって、社長のところまで行かなくても、職務権限規程上人事部長の決裁
が最終のものとされていれば、人事部長の退職願の受理によって会社としての解約申入れ
に対する承諾が行われたものと解されることになります。
07年11月12日 10時10分04秒
Posted by: shigyo
 昨日の行政書士試験、私の試験室では、試験説明時間になっても、
 半分くらいしか出席しておらず、これは遅刻者が多いのかなと思って
 いたが、それほどでもなかった。
 結局、7割弱の出席率であったが、試験会場全体では8割を超えていた
 ので、一安心。
 難化傾向のもとで、敬遠したのであろうか。
 択一式は分からないが、記述式はかなり難しかったようである。
 受験生の健闘を祈る。
07年11月09日 11時00分45秒
Posted by: shigyo
 平成19年度版「自殺白書」によれば、平成10年に前年より約8500人
急増して以来、連続して3万人を超えている。
 7割が男性で、特に急増した大半の部分を46〜64歳までの中高年男性
が占めている。
 平成18年度の自殺の原因は、約半数が健康問題で、次いで経済・生活
問題、家庭問題だという。
 3万人という数字は、驚くべき数値である。
 1日に82人、1時間だと3,4人が自殺していることになる。
 テレビのニュースでは、よく中高生のいじめによる自殺が報道されているが、
それよりはるかに多くの人が、健康や経済問題などに苦しみ自ら命を絶っている
のである。
 今どんなに苦しくても、辛くても、悲しくても、きっと生きていれば笑える日がやって
きます。
 どうか、自ら命を絶とうとしないで下さい。
07年11月08日 11時56分26秒
Posted by: shigyo
 今年6月に発覚したミートホープの食肉偽装以降、食品の偽装が
 次々と明らかになる中、農水省への食品偽装告発が増えている。
 6〜10月末までで、昨年と比べ3,2倍、1938件に上っている。
 赤福や御福餅など和菓子で偽装が明らかになった10月は、
 1ヶ月だけで過去最高の697件で、前月の倍以上だという。
 内部の人しか知りえない巧妙な偽装に関する情報も多く、
 匿名での内部告発が増えているようである。
 食は人間が生きていくための基本となるものであるから、
 自分の生活のためとはいえ、偽装に関わっていることに
 やり切れない思いがあるものと思料される。
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