遺言(ゆいごん、いごん)
 
  以前雑誌のインタビューに答えた時、『遺言は家族の方への最後のラブレターです。』と説明した時、インタビュアーの方から、「最後は勿体ない。毎年しましょう」と言われました。確かに、公正証書で作るのならともかく、家族への思いなら、毎年作っても良いかな、とも思いました。
1 遺言は、法的な事を言えば遺言者の死亡とともに一定の効果を発生させることを目的とする相手方のない単独行為で法的効力を生じさせるためには、「自筆」「秘密」「公正」の種別を問わず、法に定める方式に従わなければなりません。

 遺言でできる事項は、相続人の廃除・その取消、相続分の指定および指定の委託、遺産分割方法の指定および指定の委託、遺産分割の禁止(5年を限度)、遺贈、子の認知など法律で認められた一定のものに限られます。
そして、相続人は全て法律によって定まり、遺言による相続人の指定は認められません。

 相続が純粋に財産相続になった今日では、遺贈とくに包括遺贈によって同じ目的が達せられるからです。

2 遺言も一種の意思表示ですから、意思能力のない者のした遺言は、たとえ形式を備えていても無効です。しかし、遺言が効力を生じるときは、遺言者は生存していません。死因行為(死後行為)だからです。
  そこで、行為者自身を保護する趣旨である財産的法律行為における制限能力者制度を、そのまま厳格に遺言に適用する必要がなく、かえってこれを緩和して本人の最終意思を尊重するのが妥当です。
  それゆえ、
 (1)未成年者であっても、15歳に達していれば単独で有効に遺言をすることができます。
 (2)成年被後見人は、事理を弁識する能力を一時回復した時に、医師2人以上の立会いをもってすれば、有効に遺言をすることができます。
 (3)被保佐人、被補助人は、単独で有効に遺言をすることができます。
"終活"という言葉は、随分認知され始めたようで、いろいろな方が使われています。
 そして、それは「最後の」ではなく「最高の」ものにしていくものみたいですね。

 なお、遺言のご相談は、これにコメントとして返事を書いていただいても結構ですし、HPからお問い合わせいただいても結構です。