新型コロナウイルスの拡大が止まらない。4月17日には、発症者が都内でそれまでで最高の201人となった。18日は181人である。この数字に東京都の小池知事は躍起となり、さらに「外を出歩かないように。もっと自粛を」と呼びかけた。だが「もっと出歩かないように。自粛するように」ということが正解なのだろうか。
聞くところによれば、唯一の窓口とされている保健所の「帰国者・接触者外来」(これもおかしな名称である。最初から罹患者のほうには背を向けている)では、発熱や他の体調が悪い症状の人が、その窓口に問い合わせても、多くはつながらないか、「うちでは無理だ」と言って断られてしまうということである。何でも「37度5分以上の発熱が4日以上続く」とか、高いハードルを設けて、受診できないようにしているということである。また「検査を増やしたら医療崩壊が起きる」などという悪質なデマを流して、検査を抑えているという話もある。このような高いハードルを設けて検査をシャットアウトするということは、オリンピック開催に向けた悪あがきではないかと推測されても、何ら不思議ではない。その検査で断られた人の何割かは罹患者で、自覚のないまま市中を徘徊し、市中にウィルスをばらまいている可能性のほうがよほど高いとみなすべきである。何でもこの3月には、日本駐在のアメリカ大使館が本国へ、「日本の感染者の数字は信用できない。極端に検査人数が低すぎる」と打電しているという話である。もちろん、保健所そのものは今でも多忙に明け暮れて、手がいっぱいなのは確かなのだろうけれども。
だがここへきて見習うべきなのは、隣の韓国の施策である。韓国ではドライブスルー方式を導入するなどして、検査数を増やし、感染者を劇的に低下させている。日本も、いつまでも相手を見下した旧植民地国相手の宗主国風をふかしている場合ではないだろう。それに比較して日本では、アベノマスクに466億円もかける、2割の人に「30万円支給する」から4日で一律10万円に改めるといった朝令暮改、星野源の動画の横に首相が自宅でのんびりしている様を映して悦に入っている「裸の王様」かバカ殿様ぶりなど(自民党の議員で諫める人がいないのか)、惨憺たる有様ではないか。
ここへきてさすがに東京都医師会なども、保健所を経ないで医師が必要と診断したら、直接検査できる個所を7か所設けるなどの対策に乗り出したという。WHOの日本人の医師も言っているように、PCR検査、検査、検査そして必要となったら治療である。それしかこのパンデミックを乗り切るすべはない。小池都知事が言っているような自粛だけがすべてではないであろう。自粛して家に閉じこもっていると、子どもを含んだ家庭内感染を広げる、あるいは家庭内不和や家庭内暴力を誘発することだってあるのだ。その例もチラホラ聞こえている。