今こそ積極的な財政出動を
世界中で、コロナウイルス騒動が深刻である。日本でも拡大していて、この先さらに増大する見込みである。この時に当たり、政府・与党では、コロナ騒動で危機に陥っている中小企業や個人に財政出動する施策が持ちあがっている。大いに賛成である。積極的にどんどんやった方が良い。この危機に当たり、さすがに反対する意見はないが、危惧されるのが財政規律との兼ね合いである。コロナウイルス騒動が起きるまでは、日本でもアメリカでも、財政規律論が幅を利かせていた。日本の借金1500兆円論であり、これを少しずつでも返さなくてはいけないという議論である。だがこの議論は、このコロナウイルス騒動で、破綻が明白となった。この意見では、国の借金を増やすような財政出動はできなくなってしまうからである。
 かつて2008年のリーマン・ショックの際に、火元のアメリカは、大規模な財政出動に乗り出し、いくつかの大銀行に巨額の税金を投入し、辛うじて危機から脱したのであった。ここではその救済策がいいとか悪いとか論議しているのではない。だがアメリカが辛うじてその危機から抜けだしたことは、紛れもない事実なのである。巨額の財政資金を投入する、それは場合により必要なことなのである。すると、財政規律論というのは、極めて平時の、危機からは縁遠い、悠長な論議だったということにしかならない。
今こそ財政資金を遠慮なく投入すべき時期であると言っても何ら過言ではない。この国・国家の危機にあってこそ、国家資金をどしどし投入しなくてどうするのか。ここで1500兆円の国の借金をどうするのか、と議論している場合ではない。いや、ここへきて国の借金1500兆円論の破綻が明白になったというべきなのである。繰り返すが、国の借金がほとんど自国民からの借金である場合には、借金が引き揚げられてしまったら危機であるなどと、恐れる必要は全くないということである。それは、最近のアメリカのMMT理論(Modern Monetary Theory)が指摘していることである。
 私は、経済学については全くの門外漢なので、どのぐらい投入すべきかなどということには触れないが、いずれにしろ日本の官僚政治によくある、toolittle、toolateでは駄目なのである。今の安倍内閣でも、財政出動が必要であるということには異論はないようなので、一刻も早く実行してもらいたいものだ。布製マスクを全所帯(5千万所帯)に配って数百億円かける、そうすれば国民の不安がパッと消えるなどという愚策よりも何層倍か何十倍かプラスであることは間違いない。