null不倫相手に対する慰謝料請求 その1

□法と不倫の慰謝料
(1)夫婦の一方が、異性の愛人と不貞行為をした場合、損害を受けた配偶者は、貞操義務に違反した配偶者と異性の不倫相手双方に対して、貞操権侵害による精神的苦痛の代償として損害賠償請求ができます。

(2)不貞行為が配偶者の誘惑、不倫相手の誘惑、自然発生的かという経緯に関係なく、不貞行為自体に違法性があるとして、慰謝料請求を認めているのが法の立場です。

(3)このように民法710条(不法行為)を根拠に、共同で不法行為となる不貞行為に及んだ配偶者と不倫相手双方に対し、精神的苦痛を受けた配偶者は、慰謝料請求をすることができます。

□慰謝料請求が認められないケースも
(1)夫婦関係が既に破綻状態のケース
1.夫婦関係の実質的破たん後に、配偶者が異性と性的関係に至った場合、「不貞行為と夫婦関係破綻に因果関係がない」として慰謝料請求が認められないケースです。これは、別居、同居にかかわらず、既に夫婦関係破たんと認定されることがあります。

(2)既婚者の事実を隠していたケース
不貞行為をした配偶者が、既婚者であることを隠していて、相手の異性も独身者だと過失なく信じたケースです。

(3)配偶者が暴力、脅迫によって性的関係に至ったケース
1.相手の異性に対し、暴力・脅迫により強引に性的関係に至ったケースでは、相手異性も被害者的立場であり、不貞の共同責任は問えないとされるケースです。
2.なお、この場合は、暴行・強要など配偶者が刑事責任を問われる可能性もあります。

□慰謝料額
(1)慰謝料の相場や一般的基準はない
1.不貞行為の相手方に対する慰謝料額に、一般的な基準はなく、具体的な相場もありません。
2.慰謝料額は、不貞行為による精神的苦痛の程度や個々ケースの事情を考慮して決めることになります。

(2)慰謝料の算定の要素
1.配偶者が受けた精神的苦痛の程度、
2.不貞行為の発覚が原因で婚姻関係が破綻したかどうか
3.年齢、婚姻期間、不貞行為の期間・回数、
4.どちらが不貞行為に積極的だったか
5.相手異性の経済力、社会的地位
上記の要素を総合的に判断し、最終的には裁判官が慰謝料額を決めることになります。

(2)慰謝料額の実態
1.離婚をしなくても不貞行為の慰謝料の請求はできますが、離婚をした方が、慰謝料が高くなる傾向があります。
2.裁判の事例では50万円から400万円の間が多く、一般的には200万前後がもっとも多いようです。
3.精神的な損害賠償が慰謝料ですから、いくら請求してもよいのですが、あまりにも高額なると、話がこじれてしまうことになりかねません。また、裁判では金額算定の合理的根拠を問われます。
4.また相手異性に支払い能力がなければ、例え裁判で支払命令が出たとしても、実際に取立てができない可能性が高いと思われます。

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堺市東区 松下行政書士事務所