問 私は日本の大学を卒業して現在「国際業務・人文知識」の在留資格で会社勤務をしています。近々独立して会社を設立し、かねてからの希望どおり日本で事業展開をして行きたいのですが、日本で起業をする上で、在留資格を含めて、外国人として注意すべき点があればアドバイスして頂けませんか。

答 そうですね。最近は外国人の方で日本で起業して大成功を治める方が出てきましたね。但し、日本人も同じなのですが、大成功するケースは稀で、多くはコツコツ事業を継続しているのが実情なのではないでしょうか。また、一時の大成功もそれほど長くは続かないことが少なくないのも、ビジネスのもう一面の真実ですね。もちろん例外もありますが・・・。

ここでは、実情に即して具体的に起業する上での在留資格や起業後に注意すべき点をいくつか指摘しておこうと思います。在留資格の上では「国際業務・人文知識」から「投資・経営」への資格変更が必要になります。この「投資・経営」への資格変更の重要な基準は「事業所の確保」と「二人以上の常勤職員」が従事して営まれる規模以上の事業であることです。

「事業所の確保」がされていることを立証するために、事務所として使用する旨が記載された賃貸借契約書が必要になることがあります。単に住居として契約しただけでは、会社の本店としての登記をすることができても、「事業所の確保」とまでは言えません。(入管法第7条第1項第2項の基準を定める省令から)

また、あなたの場合は新規事業なのでしっかりした事業計画書を作成し、「二人以上の常勤職員」を雇用していることを、雇用保険に加入していることにより立証しなければなりません。但し、この「二人以上の常勤職員」の雇用については、入国管理局のガイドライン(平成17年)によると、仮に「二人以上の常勤職員」を雇用していなくても、新規事業に対し、500万円以上の事業投資が行われるのであれば、新規事業として認めるように規制が緩和されました。

ただ、この事業投資というのは、単に会社の資本金が500万円以上あればよいという意味ではありません。また、現金で500万円以上用意しなければならないという意味でもありません。新規事業への投資として、500万円以上の資金が現金をはじめ助成金や銀行融資でもいいので、すでに投資されているか、若しくは、調達できる見込みであることを立証しなければならないのです。

最後に、外国人で日本で起業する上で注意すべき点を少し触れておきます。私の個人的な体験ですが、外国人で日本に10年住んで来た方や時には20年住んで来た方でも、意外と日本の社会制度や法令に疎(うと)いことに驚かされることがあります。逆に、私たちが外国に10年、20年住んでいても同じことが言えるような気がします。

そこで、日本で起業するなら、ぜひ日本の社会制度や法令やビジネスに詳しいベテランの日本人(定年退職者でもOK)を相談相手に持つことをお勧めします。いくらあなたが有能な方でも、このような相談相手がいないと、順調に成功したように見えたとき、ひょっとしたら大きな落とし穴が待ち受けているかもしれません。

もっと詳しく説明したいのですが、少ないスペースの中での回答なので、要点のみ記しました。