2007年、団塊の世代の大量退職とともに、日本は高齢化社会から高齢社会に移行したそうです。高齢になると、どうしても認知力などが低下します。そのため、詐欺の被害や不当契約の被害にあいやすくなったり、財産管理がおぼつかなくなったりします。
 
 そういったことから社会的な保護を受けることができるように、成年後見制度があります。高齢者や障害者に対する差別をなくし、自己決定を尊重するとともに、取引の安全と本人の保護を目的とするための法律でもあります。

 法定後見と言って、本人の事理の弁識の程度に応じて、家庭裁判所にこれを決めてもらう方法があります。また、本人の意思で事理の弁識がはっきりとしているうちにあらかじめ後見人を決めて契約しておく任意後見という方法もあります。

 任意後見制度の場合は、契約内容を公正証書にして登記した上で、本人の事理の弁識が不十分になったとき、本人の意志で後見開始を決めることもできます。ちょっと記憶力が怪しくなったり、認知力が低下した時から開始でき、家庭裁判所で後見監督人を決めてもらいます。
 任意後見は特に本人の意思が優先され、後見人を自分の信頼のおける人に頼めるうえに開始の時期も自己決定できる制度ですが、まだあまり利用されていないようです。

 社会的な認知が低いこと、法定後見にある取消権がないこと、財産管理のうえで迅速性にかけることなどが指摘されているようです。迅速性については財産管理委任契約などとあわせて利用することで補うことができますが、受任者を完全に信頼してこそなしうる契約なので、この制度が受任者に悪用されないことを強く願います。しかし、これからの時代を心穏やかに過ごす上で、こういう制度があることも知っておくと良いかもしれません。
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