株式会社を設立しようとするときに、自分一人で資金を賄えるのであれば問題はない。しかし、どうしても資金が足りないとき、出資してもらうべきか、それとも融資を受けるべきか、悩まれると思います。
 融資の場合、融資をした銀行や国民生活金融公庫は単なる消費貸借の債権者に過ぎないのに対し、出資の場合、出資者は株式会社の構成員(株主)となるという決定的違いがあります。
 そのため、融資の場合には、借金を返済してしまえばそれで終わりですが、出資の場合には、その出資者の株式を取得しない限り、株主としての権利を行使してきますから、会社を設立してワンマン経営をして行こうと思っていても、他に出資者がいたら中々思うように行かない場合が生じてきます。
 そうです。その出資者がたとえ取締役として業務執行に携わっていなくても、株式会社の組織・運営・管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる株主総会において、議決権を行使してくるのです。株主総会の決議要件には、定款に別段の定めがなければ、(1)普通決議(株主の議決権の過半数が出席しその過半数で決議)、(2)特別決議(株主の議決権の過半数が出席しその3分の2以上で議決)、(3)特殊決議1(株主の半数以上でかつ当該株主の議決権の3分の2以上で決議)、(4)特殊決議2(総株主の半数以上でかつ総株主の議決権の4分の3以上の決議)、の4つがあります。何か分かりにくいかもしれませんが、(4)は非公開会社が株主平等の原則と異なる定めを定款で定めた時の、その定款変更決議の場合ですから、ここでは置いておきましょう。
 そこで、過半数と3分の2以上がキーポイントになるわけですが、特に重要事項を決議するのに必要な3分の2以上が意味を持ってきます。つまり、他の出資者が3分の1を超える議決権を有していれば、重要事項を単独で議決できないことになります。
 このことから言えば、会社を設立して自由に経営をしたい事業主の方が、資金が足りないため他の人に出資を頼む場合には、出資比率が3分の1を超えないようにしなければなりません。でないと、自由な経営が出来なくなる虞があります。銀行等の金融機関は、融資はしても出資はしませんから、設立してから融資を受けましょう。
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 今回はこの辺で。