社会保険庁によると、昨年10月から3月までの半年間で、年金に関して全国の社会保険事務所などに来所し、相談した人は、男性3408人に対し、女性は4倍の1万3421人。電話相談を含めると、男女合わせて3万1696件。分割した場合の年金見込み額などを請求した人は8046人、その内86%が女性ということである。
 離婚件数は、平成14年の約29万件をピークに、年金分割制度を決定した平成15年以降約1万件ずつ減少し、平成17年は26万2000件であった。平成18年度はまだ統計が出ていないが、同じ割合で減少していたとすると、およそ25万件であろうか。
 とすれば、4万〜5万組の離婚予備軍がいることになる。
 大阪社会保険事務局によれば、相談内容は「離婚すると、自分の年金はいくらか」などが主であるが、制度の内容を誤解している人も多いという。
 私は、前にも記事にしたが、分割できるのは婚姻期間中の保険料納付記録であり、しかも厚生年金の報酬比例部分に限られ、基礎年金や厚生年金基金の上乗せ給付等は、分割の対象にならないということに留意しなければなりません。
 報酬比例部分は、例えば、平均標準報酬月額35万円、賞与を含めた平均標準報酬額50万円とすると、月に10万円ぐらいにしかなりません。
 したがって、最大2分の1でも5万円となり、自分の基礎年金と合わせても、10万円強だと思われます。「年金分割制度」という言葉が、独り歩きをしているのです。
 あなたは、離婚して働く覚悟がありますか。
 晩年の人生設計は、慎重に判断する必要があります。
 まず、どのくらい年金を分割してもらえるのかを把握するため、年金手帳と戸籍謄本(抄本)をもって最寄の社会保険事務所に、情報提供の請求をしてみましょう。
 メールによるご相談は、m-sgo@gaia.eonet.ne.jpまでお気軽にどうぞ(無料)。