年金分割制度については、以前記事にしましたが、この制度の施行がいよいよ秒読みの段階になって参りましたので、もう一度記事にしたいと思います。
 一昨秋放送されたドラマ「熟年離婚」の衝撃は、その後も収まっていないのか。厚生労働省の調査によれば、昭和50年の離婚総数は12万件弱で、そのうち同居期間30年以上の夫婦の離婚は866件に過ぎなかったのに対し、平成16年では離婚総数は27万件強(約2,3倍)に増えたが、同じく同居期間30年以上の夫婦の離婚は、1万1468件とおよそ13倍にもなったようである。
 昨年の10月から年金に関する情報提供サービスが始まりましたが、社会保険庁によれば、全国の社会保険事務所を中心とする昨年10月から今年2月までの年金相談件数は、およそ2万5000件であり、そのうち情報提供請求件数は約6000件、情報通知書交付件数は約5000件であり、いずれも9割弱が女性からの請求によるものであったようである。
 これらの資料と、近時の離婚件数が平成14年の約29万件をピークに、毎年およそ1万件ずつ減少してきているという事実からすれば、妻が離婚を控えてきたというのは疑いないと思われます。
 しかし、前にも述べましたが、年金分割ができるのは、婚姻期間中のしかも報酬比例部分に過ぎません。報酬比例部分は平均して十数万円だと思われますから、仮に2分の1が分割されたとしても、妻は自分の老齢基礎年金と合わせても10万を少し超えるくらいだと思われます。「年金分割制度」という言葉が独り歩きをしているのです。この程度の額であれば、離婚後自分が働かなければならない、ということも視野に入れておかなければなりません。
 離婚後の生活基盤を考える上で、夫の厚生年金をどの程度分割してもらえるのか、確実な情報が必要です。年金手帳と戸籍謄本(抄本)をもって、最寄の社会保険事務所に情報提供請求をしてみましょう。
 メールによるご相談は、m-sgo@gaia.eonet.ne.jpまでお気軽にどうぞ(無料)。
 今回はこの辺で。