1 遺言は、遺言者の死亡とともに一定の効果を発生させることを目的
 とする相手方のない単独行為です。
  遺言でなしうる事項は、廃除・その取消、相続分の指定、遺産分割
 方法の指定など法律で認められた一定のものに限られます。
  そして、相続人は全て法律によって定まり、遺言による相続人の指
 定は認められません。相続が純粋に財産相続になった今日では、遺
 贈とくに包括遺贈によって同じ目的が達せられるからです。
2 遺言も一種の意思表示ですから、意思能力のない者のなした遺言
 は、たとえ形式を備えていても無効です。しかし、遺言が効力を生ず
 るときは、遺言者は生存していない。
  そこで、行為者自身を保護する趣旨である財産的法律行為における
 制限能力者制度を、そのまま厳格に遺言に適用する必要がなく、かえ
 ってこれを緩和して本人の最終意思を尊重するのが妥当である。
  それゆえ、
 (1)未成年者であっても、15歳に達していれば単独で有効に遺言をす
   ことができる。
 (2)成年被後見人は、事理を弁識する能力を一時回復した時に、医師
   2人以上の立会いをもってすれば、有効に遺言をすることができま
   す。
 (3)被保佐人、被補助人は、単独で有効に遺言をすることができます。