事案は、「頸肩腕症候群と診断された電話交換作業従事職員に対して、会社は頸肩腕症候群の精密検査を受診するよう、二度にわたって業務命令を発したが、当該従業員がこれを拒否したため、就業規則の「上長の命令に服さないとき」という懲戒事由に該当するとして、懲戒処分をしたもの」である。
 電電公社帯広局事件であるが、最高裁(最判S61,3,13)は次のように判示した。
 業務命令の根拠は、「労働者がその労働力の処分を使用者に委ねることを約する労働契約にある」と解すべきであるとした上で、個々の労働契約と就業規則との関係を以下のように述べている。
 就業規則が労働者に対し、一定の事項につき使用者の業務命令に服従すべき旨を定めているときは、そのような「就業規則の規定内容が合理的なものである」かぎりにおいて、「当該具体的労働契約の内容をなしている」ものということができる。
 そして、当該就業規則の合理性を認定して、当該労働契約の内容をなしているとして、懲戒処分を適法なものとした。
 ちなみに、就業規則と労働契約の規範的効力関係は、就業規則が労働契約に優先し、したがって、就業規則に定める基準に達しない労働契約は、その部分については無効となることに注意を要します。
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