親族で所有している土地はかなり古く、現在の登記簿だけではわからない共有者がいました。そのうちの南方くま(仮名)は除籍簿もなく、調べようもなく困っていました。同じ村に南方姓は多く、南方くまの位牌を管理している家もある。しかし、その家の現在の戸籍からたどっても氏名がでてこない。そこで同じ南方くまの名義人を探そうと思い、土地台帳をみることにしました。
 土地台帳は現在の登記簿の前身ともいってよく、明治22年編成の資料です。法務局で無料で閲覧、複写をお願いできます。横断的に同じ場所にどんな名義でどんな土地があったか見れます。登記原因、所有者の記載から除籍のみつからないひとがわかることもあります。 
 たとえば「折口しのぶ」から明治28年10月2日で家督相続で折口みほ以下3名とあれば、折口しのぶの死亡は明治28年10月2日で、親族が折口みほ以下3名だったのではないかと仮定できないでしょうか。古い相続で除籍がみつからないのは住所が不明であったり、除籍の筆頭者がわからないといったケースではないかと思いました。
 感を働かせて「エ、ヤとこの辺」という感じでみつかることはあります。結局、南方くまは墓地の共有者で名義があるのを見つけました。幸い墓地の登記簿に住所、氏をみつけ、市役所で除籍謄本をとりました。記載をみると現在でいえば裁判所の財産管理事件として処理されていました。いまでしたら相続人不存在ですね。
 土地台帳は古い相続をみるのに非常に有効です。また歴史資料としても一級のものだといえます。幼稚ですがまずは、実際、あった話からご報告もうしあげました。