7月2日に投開票された東京都議会議員選挙は、最近の選挙では見られない程に、民意をハッキリと示す結果となった。最大党派だった自民党が、57議席から一挙に23議席へと転落。替わって「都民ファーストの会」が49議席と、最大党派にのし上がった。
事前の世論調査や予測では、ある程度まではこうした傾向を示してはいたが、ここまではっきりと民意が示されることを予測した調査はなかったのではないか。予想をはるかに越える民意の爆発だったと言ってよい。
これは勿論、今の安倍政治、国政に対するノーという意思表示である。しかも今まで安倍政治を支持してきた層からの声であり、離反であろう。
考えてもみよう。安保法制とか集団的自衛権などは、価値観が分かれる者とでは違って当然かと言えるのかも知れない。だが私人と公人との区別をしない、できない極端な公私混同や、首相夫人の専横(これは首相本人が抑えれば済む話なのに、それをやっていないということ)、役所の文書を勝手に廃棄する(本当にそうだとして)などは、あってはならないことなのである。役人は特定の政治家の下僕ではなく、国民の公僕である。特定の政治家に都合が悪いからと言って、処分するなどということ、しかもそれによって役人としての栄達の道を歩むなどということが許されるわけがない。これらの点に多くの都民が憤りを感じたとすれば、全く当然のことである。
 考えてみれば、安倍一強などというが今の政権与党は(公明党も入れて)たかだか25%の支持率に過ぎない。それが衆議院の議席では絶対多数を占めてしまうのは、小選挙区制のゆがんだ特質による。多数党に有利に働くように出来ているのだ。問題は多数を占めた党がそのことをよく自覚し政権運営をするか、多数の支持を得たのだからと、公私混同もお構いなしに、得て勝手に暴走するかである。
今回は安倍政権の暴走に対する選挙民の手痛いお灸だった。だがそのお灸は、「都民ファーストの会」という自民に代わる受け皿があったことで、やっと可能となったのである。考えてみれば、安倍政権への支持は、他にそれに代わる政党がないからという消極的支持に過ぎないものであることは、これも世論調査の結果からは明らかだったのである。だから自民党に代わる受け皿さえあれば、それはすぐにでもひっくり返る危うい関係であるということである。
今回の選挙で今一つ明らかになったことは、民進党のダメさ加減である。今後も自民党に代わる政党として拠立することはないのだと思われる。それは、今の民進党の体制を見れば明らかである。政権与党の民主党を、破壊・解体したメンバーがそのまま居座っているのだから(民主党政権を何が何でも転覆しなくてはならないという東京地検特捜部の国策捜査があったにしろ)。今後は民進党とは別の受け皿を期待するしかないのであろう。
だが現代の治安維持法である「共謀罪」はこの7月11日から施行される。また安倍政権の北朝鮮の危機を煽るやり方も目に余るものがある。次の戦争へと至る道だけは、絶対に避けていかなければならないと思う。