(1)証書作成料
 遺言公正証書の作成手数料は、遺言により相続させ又は遺贈する財産の価額を目的価額として計算します。
 遺言は、相続人・受遺者ごとに別個の法律行為になります。数人に対する贈与契約が1通の公正証書に記載された場合と同じ扱いです。したがって、各相続人・各受遺者ごとに、相続させ又は遺贈する財産の価額により目的価額を算出し、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。
 例えば、総額1億円の財産を妻1人に相続させる場合の手数料は4万3000円ですが、妻に6000万円、長男に4000万円の財産を相続させる場合には、妻の手数料は4万3000円、長男の手数料は2万9000円となり、その合計額は7万2000円となります。
次に祭祀の主宰者の指定は、相続又は遺贈とは別個の法律行為であり、かつ、目的価格が算定できないので、500万円以下とみなされるため、その手数料は1万1000円となります。

(2)遺言加算手数料
 手数料令19条は、遺言加算という特別の手数料を定めており、1通の遺言公正証書における目的価額の合計額が1億円以下の場合は、1万1000円を加算すると規定してます。したがって、上記の例では7万2000円に1万1000円を加算した8万3000円が手数料となります。
 
(3)出張料
 遺言者が病気等で公証役場に出向くことができない場合には、公証人が出張して遺言公正証書を作成しますが、この場合の手数料は、遺言加算を除いた目的価額による手数料額の1/2が病床執務手数料として加算され、これに、遺言加算手数料を加えます。上記の例だと、7万2000円×1/2=3万6000円が加算されます。
また出張の場合は、この他に、旅費(実費)、日当(1日2万円、4時間まで1万円)が必要になります。

(4)用紙代
さらに、用紙代が1枚あたり250円必要です。(2000円~3000円位が多い。)

なお、作成された遺言公正証書の原本は、公証人が保管しますが、保管のための手数料は不要です。

(上記例での公証人手数料)
証書作成料43,000円+29,000円+11,000円+遺言加算手数料11,000円=94,000円+用紙代