離婚は夫婦二人の問題と思いがちですが,それぞれに両親や親せきがいて,その人たちとの付き合いも,夫婦生活には欠かせないものです。そんな相手方の親族との不仲を理由として,離婚請求はできるのでしょうか。

今回のケースは別居していた妻の母親が少しずつ,夫婦の住居に居座るようになってきたケースです。

居座るだけでなく,妻の母親はよく夫をなじるため,夫と妻の母親はとても不仲となってしまいました。結構,ずうずうしい母親なのでしょうか?

それならば,妻が当然,母親に少しは遠慮した態度をとるように促したかというと,今回はそうでもなく,妻は,夫に相談もせず,妻の母親との同居,そして,同居に向けての増築計画の相談までしていたのです。

当然ながら,夫はそのこと知ってからは妻に対する不信を募らせ,また,妻の母親に自宅に戻るよう強く要求していました。

結局,夫のが強い要請で,妻の母親は自宅に戻ることになりました。しかし,そう簡単に話は終わりません。今度は妻が夫の母親に対して夫の悪口を言うようになったのです。

妻もなんで夫の母親まで巻き込むようなことをしてしまったのでしょうか。かっとなってのやつあたりなのでしょうか。

なので,また当然に夫の妻へ対する不信は極限に達してしまいます。このような状況では家庭内の会話はないばかりでなく,夫はとうとう自宅の自室にこもりがちになってしまいました。妻が執拗に話し合いを求めました。その結果,事態は好転することなく,夫は家を出て別居生活が始まってしまったのです。

夫婦の別居生活が2年半ほどに及んだ時に夫から家庭裁判所に離婚の請求がなされました。

しかし,6年余りの夫婦生活と比べ,別居の期間はさほど長くありません。そして,婚姻関係の回復はまだ期待されると判断されました。当事者間では,特に夫の側からは結婚を続けられない気持ちでいっぱいだったのかもしれませんが,家庭裁判所の判断は婚姻関係が破たんしているとはいえないとして離婚の請求は棄却されてしまいました。

夫婦は単に恋人同士ではなく,法的にお互いに助け合う義務を背負う関係になります。心の小さな隙間が,大きな溝になってしまって,どうしようもない気持ちになっても,外側から見て破たんしていると見られなければ,裁判では認められないことが多いです。

結婚する前,結婚してから,そして定期的にしっかりと夫婦で理解しあえるような話し合いを積極的に持つことがいいのでしょうね。