先日,知的障がいのある人から相談を受けました。
内容は次のようなこと。
大手の中古本販売店に自分の本を売りに行った。身分証明を見せてほしいとのことなので,療育手帳(知的障がい者の手帳)を提示した。
以前もこの手帳で売ったことがあったので,問題ないと思っていたが,店員にこれではだめですと言われた。
前,使ったと話してみたが,自分(店員自身)の方が正しいに決まっていると言った決め付けた態度でだめですと言われた。
どうも,店員は療育手帳を見て,障がい者として見下した態度をとったようです。障がいのある人の訴えよりも,健常である自分が調べた内容のほうが正しいに決まっていると思ったのでしょう。
なぜなら,店員はマニュアルにある身分を証明するものとして挙げられている各種の証明書の内容をよく確認もせずに,「だめです」を連呼したからです。その態度は相手を尊重しているとは言えません。
そこで,私は電話連絡してみました。そして,身分を証明する物の一覧を読み上げてもらいました。
「…,…,各種福祉手帳」
「待って」
そこで,読み上げるのを止めてもらい尋ねてみました。
「各種福祉手帳とは具体的に何を指しているのですか?」
ちょっと意地悪な質問かなぁと思いながらも,相談をしに来た人の心の傷に比べたらまぁいいかと思い聞いてみたのです。
「よくわかりません」
こういう回答です。よくわからないのに,お客さんを追い返してしまっていたのです。一覧を確認したけどそういう手帳は一覧にないから駄目だと言って追い返していたのです。
大手の中古本販売店なので大問題なのかもしれません。
対応した店員の名前を確認して電話を切りました。そして相談者に確認しました。
「名前を確認したから,本部でしかってもらうように言いつける?」
相談者の答えは
「もう,次からちゃんとしてくれればそれでいいよ」
相談者の心の優しさなのか,それとも多くのつらい思いがある意味のあきらめを心に植え付けたのか。
店員は差別していないと言うかもしれません。一覧になかったと思いこんだだけだというかもしれません。自分の勉強不足をわびるだけかもしれません。
しかし,差別を感じさせた。
これは事実です。