保佐類型の対象となる方は「精神上の障害により」「事理を弁識する能力が著しく不十分な」方となります。「著しく不十分」な状態は,家庭裁判所が医師の診断書,および鑑定書を判断材料として決定します。

「事理を弁識する能力」とは利害関係や損得(法律行為によるもの)を適切に判断する力のことをいうので,そういった力が著しく弱くなった状態と言えます。

具体的には,契約等,何らかの法律行為をする場合,誰かの助言があれば何とかできる状況にある人が該当します。後見と補助の間に属する類型であるので,判断が微妙な場合も多く,保佐の判断には必ず鑑定が必要となります。

保佐開始すると被保佐人は民法の13条1項に挙げられた行為をする場合,保佐人の同意が必要となります。これらの行為を保佐人の同意なく行った場合は保佐人だけでなく,被保佐人もその行為を取り消すことができます。それらの行為は次のような行為です。

①元本を領収し,または利用すること。
②借財または保証をすること。
③不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
④訴訟行為をすること。
⑤贈与,和解または仲裁合意をすること。
⑥相続の承認もしくは放棄または遺産の分割をすること。
⑦贈与の申し込みを拒絶し,遺贈を放棄し,負担付贈与の申し込みを承諾し,または負担付き遺贈を承認すること。
⑧新築,改築,増築または大修繕をすること。
⑨民法602条に定める期間を超える賃貸借をすること。

これらは法律であらかじめ決められていますが,これらの行為以外の行為についても当事者で決めて,申立てをすることにより範囲を拡大することができます。この範囲について日用品の購入まで広げると,自己決定権について後見類型以上の制限をつけることになるので,除外されることになります。

後見類型では,後見人が代理権を持っていましたが,保佐では法定されていません。しかし,本人の同意があれば,申立てによって,特定の法律行為に対して保佐人に代理権を付与することができます。

また,被保佐人は保佐が開始することによって,前に述べたように特定の資格や権利を喪失します。