2011年 5月の記事一覧

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11年05月25日 10時26分30秒
Posted by: heartful

秘密証書遺言とは遺言書の内容を秘密にしながら,作成したこと自体は明確にすることができる遺言書です。公正証書遺言のように公証役場で手続きをする必要があります。

具体的には秘密証書遺言書は自筆である必要ななく,署名押印さえすれば有効です。その書かれた遺言書を封書に入れて封をし,封印をします。

それを公証役場にもっていき,証人2人の前で,公証人に提出します。遺言者は公証人,及び証人2人に,その遺言書は自分で書いたこと,住所などを申述します。

公証人はその内容を封紙と呼ばれる紙に記載して,公証人,証人2人が署名押印します。

秘密証書遺言の長所としては,遺言書の存在を明確にしながらも,その内容は秘密にできる,自書に限らず,ワープロでも代筆でも構わない等が挙げられます。

短所としては,遺言書の形式はチェックされないので,形式不備で無効となる場合がある,遺言書の作成事実はは公証役場に記録されるが,遺言書自体は自分で保管するので紛失等の恐れがある等が挙げられます。

また,公証役場で手続きをするために費用がかかります。

秘密証書遺言は実務上あまり作成されてはいません。

11年05月23日 13時57分14秒
Posted by: heartful

子どもが生まれた約半年後に夫婦は結婚しました。

経済的に自立できないので,夫婦ははじめ,夫の両親から仕送りを受けながら生活していました。しかし,いつまでもそれではいけないと,夫の就職をして,それを機に,仕送りを断り,経済的に独立することなりました。

しかし,他人に頼った生活が長すぎたのか,就職は長続きせず,二人の生活は,またすぐに困窮を極めることになってしまいます。

もう少し,大人,いや親としての自覚が必要なのでしょうが,なかなか親としての役割を自覚することができないようです。

それでも,夫婦生活を続けていた二人の間に二人目の子どもが生まれます。これで一念発起するかといえば,そうではなく,相変わらず夫は仕事が長続きせず,生活費は妻が内職をして稼いでいる状態でした。

もちろん内職のみの収入で,2人の子どもの養育を続け,さらに家で何をすることもなく過ごす夫の面倒をみることはできません。そこで,妻は水商売で生計を立てることにしました。

夫は反対し,自分が働くというかと思えば,よろこんで賛成しました。それでは自分は家事,養育をがんばるかと思うと,そうではなく,子どもの面倒を見ようともせず,だらだらとした生活を続けていました。

その様子を聞いた夫の両親は,ふがいない自分の息子に愛想を尽かし,子どもたちを自身の家に連れて帰ることにしました。自分たちの息子を教育するよりも,自分たちの息子による悪影響を恐れ,孫を教育するほうを選んだということでしょうか?

それでも夫の生活態度は全然変わることはありません,がんばってきた妻もとうとう愛想を尽かし,別居を決意しました。

少しは,心に波が立ったのか,夫はいったん仕事に就きます。しかし,長い間の生活で体に染み付いてしまったなまけ心はなかなかぬぐえず,仕事をすぐにやめてしまいました。

そして,妻の別居などの行動に対して,自身のことを反省するどころか,女を作ってみたり,離婚をほのめかしたり,妻が離婚に応じそうになると,これを撤回したり,妻に対しての嫌がらせを続ける始末。

さらに,夫は別居をした妻に対する報復として,行方をくらましました。そして,妻に対して反省するよう強制する等の手紙を送り付け,その中で,行方をくらました理由として,妻からの離婚の請求を不可能にさせるためであると伝えてきたのです。

もう,手のつけようのない夫の態度です。大人になれない,そうではなく子どものまま,いや,かなり性質の悪い性格と言っていいのではないのでしょうか?

そして,ついに妻は訴訟を決意しました。裁判所はこれらの夫の行動をどう判断したのでしょう。

この場合,裁判所は夫の勤労意欲の欠如や,それに加えて夫婦共同生活を営もうとする意思の欠如を認定して,婚姻を継続しがたい重大な事由であるとして,妻の離婚請求を認めました。

当然といえば当然なのかもしれません。

11年05月18日 09時43分14秒
Posted by: heartful

生きている中で,人は多くの人と出会い,その出会いの中で,喜び,悲しみ,怒りなど様々な思いと出会います。

誕生した時に親と子の出会いがあり,子は親の支えの中で自分の世界を少しずつ広げ,新たな出会いに遭遇し,そして自分の世界を確立していきながら,親から独立していき,そして独立した子は,また新しい出会いの中で,愛を見つけ,そして親になります。

生きている中で無数にある出会い,しかし,一方で心に残る出会いというものは意外に少ないのかもしれません。心に残ると言ってもいい残り方だけではありません。あの野郎と思うような悪い残り方をするものもあるでしょう。

心に良い印象の残る出会いを多くできたこと。いい人間関係に恵まれること。これも幸せを測る一つの物差しなのかもしれません。

 

11年05月16日 10時00分01秒
Posted by: heartful


日,知的障がいのある人から相談を受けました。 

内容は次のようなこと。


大手の中古本販売店に自分の本を売りに行った。身分証明を見せてほしいとのことなので,療育手帳(知的障がい者の手帳)を提示した。


以前もこの手帳で売ったことがあったので,問題ないと思っていたが,店員にこれではだめですと言われた。


前,使ったと話してみたが,自分(店員自身)の方が正しいに決まっていると言った決め付けた態度でだめですと言われた。


どうも,店員は療育手帳を見て,障がい者として見下した態度をとったようです。障がいのある人の訴えよりも,健常である自分が調べた内容のほうが正しいに決まっていると思ったのでしょう。


なぜなら,店員はマニュアルにある身分を証明するものとして挙げられている各種の証明書の内容をよく確認もせずに,「だめです」を連呼したからです。その態度は相手を尊重しているとは言えません。


そこで,私は電話連絡してみました。そして,身分を証明する物の一覧を読み上げてもらいました。


「…,…,各種福祉手帳」


「待って」


そこで,読み上げるのを止めてもらい尋ねてみました。


「各種福祉手帳とは具体的に何を指しているのですか?」


ちょっと意地悪な質問かなぁと思いながらも,相談をしに来た人の心の傷に比べたらまぁいいかと思い聞いてみたのです。


「よくわかりません」


こういう回答です。よくわからないのに,お客さんを追い返してしまっていたのです。一覧を確認したけどそういう手帳は一覧にないから駄目だと言って追い返していたのです。


大手の中古本販売店なので大問題なのかもしれません。


対応した店員の名前を確認して電話を切りました。そして相談者に確認しました。


「名前を確認したから,本部でしかってもらうように言いつける?」


相談者の答えは


「もう,次からちゃんとしてくれればそれでいいよ」


相談者の心の優しさなのか,それとも多くのつらい思いがある意味のあきらめを心に植え付けたのか。


店員は差別していないと言うかもしれません。一覧になかったと思いこんだだけだというかもしれません。自分の勉強不足をわびるだけかもしれません。


しかし,差別を感じさせた。


これは事実です。


 





11年05月13日 09時54分52秒
Posted by: heartful

相談を受けていると家族って不思議と思うことがあります。

ある高齢の方が,苦労しながら子育てをしていた話をされました。それでも,その苦労をかけられた子供に腹を立てる出なく,一生懸命育てられたそうです。

しかし,子どもは大人になると家を出て,親を見向きもしません。高齢になって不安な思いをつたえても,全然,自分は関係ないって顔をするだけです。

他の人からこんな話を聞きました。酒癖が悪く,全然子供を構ってくれなかった父親。でも,心配でほっとけない。父は一人暮らしをしているが,心配で家に行くと,帰れって言って何もさせてくれない。

上の二つの話。一つは苦労をして大切に育ててきたはずの子どもに裏切られた話,一方でほっといて,逆に苦労をかけたであろう子どもから優しさを受ける親。

子どもが問題を起こした時に「親の顔が見たい!」とか以前は言っていました。

しかし,育て方,環境,もちろん人の心の成長に大きな影響を与えるものでしょうが,それだけでもないのかもしれません。

人が持っているその人特有の心の中の何らかの要素に,環境要因が触媒のような感じで変化を促すのでしょうか?

要素は一般的に「いい環境」だからといってよい変化をするとは限らず,一般的に「悪しき環境」だからといって悪く変化をするわけではない。

特有の要素なので,ある人にとっては触媒となる環境も,ある人にとっては何の影響も及ぼさない。

そういう特有の要素がそもそもあるのではないかと思わせられる今日この頃です。

11年05月10日 09時33分05秒
Posted by: heartful
後見制度利用の対象者は,今までに述べたように「精神上の障害により」「事理を弁識する能力」が十分でない人となります。

平成11年に民法が改正される前は後見制度に変わる禁治産者,準禁治産者制度がありました。この制度では単なる浪費者に対しても,準禁治産者として保佐人をつけることで保護する制度でした。

ただし,改正前の状況でも改正後の状況でも身体のみの障害の人は対象とはなっていません。

これは,身体のみの障害のある人の場合,自身で法律行為をすることが可能であり,自己決定権を重視したからです。

ただ,身体に重度の障害があり,財産の管理や,介護等の契約を自分で行うことが困難な場合があります。

その場合,信頼できる第三者との間で財産管理等委任契約,身上監護契約を締結することで,その第三者が本人に変わって財産管理等を行うことができます。

ただし,後見制度と違って,財産管理等委任契約は契約相手の第三者を監督する者がいません。なので,信頼できる第三者の選任が重要です。

また,財産管理等委任契約書を公正証書にするなどし,公の証明をとっておくことも必要でしょう。

若干,費用も必要ですが,行政書士等の専門職に頼むことも有効といえます。
11年05月09日 10時36分01秒
Posted by: heartful


実務的にどのような外国人がどちらの在留資格になるのかを少し書いていきたいと思います。

例えば,日本の大学,大学院等卒業した外国人がそのまま日本で就職するためにとる在留資格として,文系出身者は「人文知識・国際業務」に,理系出身者は「技術」に進むことが多いようです。多いようですと言うのは,最近はコンピューター関連の業務が多くなってきており,「人文知識・国際業務」と「技術」の境がはっきりしない業務もあるからです。

その場合は,その業務内容と卒業した課程を考慮しながら,適切な在留資格を申請しなければなりません。

単に,文系卒だから「人文知識・国際業務」,理系だから「技術」として申請しても業務内容がそれぞれ違っていれば許可はされないでしょうし,業務だけ考えて履修した課程を考慮に入れないと又それも許可が難しくなるでしょう。

また,上記のような点を考えると,就職しながらの「人文知識・国際業務」から「技術」への変更なども非常に難しいといえます。




11年05月08日 10時39分15秒
Posted by: heartful

相続人の存在が分からない時は,そのままにしておくのではなく,相続人の調査をする必要があります。行政書士等の専門家に依頼する方法もありますが,自分で調査することもできます。

まずは,亡くなった人の除籍謄本を取ります。除籍謄本は亡くなった人の本籍地のある市町村役場で請求できます。

除籍謄本では,亡くなった人のその時の戸籍状況しかわからないので,結婚等で本籍を移している場合は,移される前の戸籍を請求しなければなりません。

除籍・戸籍謄本で,その人の配偶者,子ども,親などわかってきます。相続人を特定するためには,亡くなった人の出生にさかのぼるところまで戸籍をたどっていく必要があります。その除籍・戸籍で,亡くなった人の子ども,兄弟等を確認していきます。

また,その結果,相続人の存在・不存在が不明の場合は,相続財産は法人となります。その場合,利害関係人等の申立てによって,家庭裁判所は相続財産の管理人を選任することになります。

相続財産管理人はあらためて,相続人を捜索することになりますが,それは相続財産管理人選任の公告によって行います。

公告後2カ月以内に相続権を主張する者が現れたら,その時点で通常の相続手続きに入ります。主張する者が現れなければ,家庭裁判所は亡くなった人の特別縁故者の請求によって,その縁故者に分与をすることができます。

それもない場合,また,分与後も財産が残った場合は,財産は国庫に帰属しま

11年05月06日 10時28分25秒
Posted by: heartful

公正証書遺言は公証役場に行って作成する遺言です。これを作成するには「証人2名の立会い」「遺言者による遺言内容の公証人への口授(口頭で伝えること)」「遺言者によって口述された内容を公証人が筆記,それを遺言者,証人に閲覧等すること」「閲覧後,遺言者,証人が遺言書に署名,押印すること」が必要です。

このような手続きで作成されますが,公正証書には次のような長所や短所があります。

長所は,「方式不備等による無効となる危険がない」「遺言内容の変造・もしくは遺言の紛失等の心配がない」「自筆証書遺言で必要とされる検認の手続きが不要」「自筆でなくても作成することができる」などがあげられます。

短所は「証人が必要になるなど手続きが面倒」「公証人へ支払う費用が発生する」「遺言内容が証人に知られてしまう」などがあげられます。

公正証書遺言には費用が発生します。費用以外に,公証役場には遺言者の実印,印鑑証明書,相続人の戸籍,不動産登記事項証明書など必要になってきます。あらかじめ,公証役場と打ち合わせをして必要な者等確認しておく方がよいでしょう。

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