2011年 1月の記事一覧
たくさんの祝福に包まれて,多くの命は誕生します。ありきたりですが,そのかけがえのない大切な命の重さは計ることができない貴重なものです。
当然ですが,今,生きている人すべてにそのかけがえのない命は宿っています。魂が抜けたようになってという言葉がありますが,そんな魂が抜けたような人でも,やはり命は宿っています。お年寄りでも,障がいのある人でも,男でも,女でも,それは変わりません。
誕生の時にその命はたくさんの祝福の心に包まれて,そして,その時に,その新しい命の中で,同時に心が誕生するのではないかと考えたことがあります。
心ない人といいますが,実際に心がない人ではなく,冷たい人のことをそう言いますね。そこでは「心」=「温かいもの」という前提で言われています。
これまで出会って,そしてこれから出会う人すべてが,多くの祝福の中で誕生し,かけがえのないその命や温かい心を持っています。
そのことをお互いに感じられれば,自然と思いやりのあふれた世の中になるかもしれませんね。
そして,心は中で持っているだけでは伝わらずに,「きれいだね」「今日は元気そうだね」と言葉に姿を変えて相手に伝えられます。
心が温かいのなら,それを伝える言葉も温かいものであってほしいですよね。
保佐類型の対象となる方は「精神上の障害により」「事理を弁識する能力が著しく不十分な」方となります。「著しく不十分」な状態は,家庭裁判所が医師の診断書,および鑑定書を判断材料として決定します。
「事理を弁識する能力」とは利害関係や損得(法律行為によるもの)を適切に判断する力のことをいうので,そういった力が著しく弱くなった状態と言えます。
具体的には,契約等,何らかの法律行為をする場合,誰かの助言があれば何とかできる状況にある人が該当します。後見と補助の間に属する類型であるので,判断が微妙な場合も多く,保佐の判断には必ず鑑定が必要となります。
保佐開始すると被保佐人は民法の13条1項に挙げられた行為をする場合,保佐人の同意が必要となります。これらの行為を保佐人の同意なく行った場合は保佐人だけでなく,被保佐人もその行為を取り消すことができます。それらの行為は次のような行為です。
①元本を領収し,または利用すること。
②借財または保証をすること。
③不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
④訴訟行為をすること。
⑤贈与,和解または仲裁合意をすること。
⑥相続の承認もしくは放棄または遺産の分割をすること。
⑦贈与の申し込みを拒絶し,遺贈を放棄し,負担付贈与の申し込みを承諾し,または負担付き遺贈を承認すること。
⑧新築,改築,増築または大修繕をすること。
⑨民法602条に定める期間を超える賃貸借をすること。
これらは法律であらかじめ決められていますが,これらの行為以外の行為についても当事者で決めて,申立てをすることにより範囲を拡大することができます。この範囲について日用品の購入まで広げると,自己決定権について後見類型以上の制限をつけることになるので,除外されることになります。
後見類型では,後見人が代理権を持っていましたが,保佐では法定されていません。しかし,本人の同意があれば,申立てによって,特定の法律行為に対して保佐人に代理権を付与することができます。
また,被保佐人は保佐が開始することによって,前に述べたように特定の資格や権利を喪失します。
●「出国命令制度」をご存知ですか
この制度を利用すれば,在留期間を経過したままで日本で生活している外国人で帰国を希望している方は,収容されることなく簡易な方法で手続きができます。
退去強制手続により帰国した場合,最低5年間は日本に入国することはできませんが,「出国命令制度」で帰国した場合,その期間は1年間となります。
「出国命令制度」を利用できるのは,次のすべてに該当する方です。
★速やかに日本から出国する意思を持って自ら入国管理官署に出頭したこと
★在留期間を経過したこと以外の退去強制事由に該当しないこと
★入国後に窃盗などの所定の罪により懲役または禁錮に処せられていないこと
★過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと
★速やかに日本から出国することが確実に見込まれること
●「仮放免の許可」をご存知ですか
帰国を希望している外国人の方で,「出国命令制度」の対象にならなくても,自ら入国管理官署に出頭した方についてはこの「仮放免の許可」によって,収容されることなく手続きを進めることが可能です。「仮放免の許可」については事務所までご相談ください。
●「在留特別許可にかかるガイドライン」をご存知ですか
先般,「在留特別許可にかかるガイドライン」が改定されました。この中で,在留特別許可の拒否判断を行う時の積極要素として,日本人と結婚している場合のほかに
★自ら入国管理官署に出頭申告したこと
★日本の初等・中等教育機関に在作詞相当期間日本で生活している実施を監護及び養育していること
★日本での滞在期間が長期に及び定着性がみられていること
などがあげられています。在留特別許可を申告されようとしている方はこのガイドラインをよく読んでください。
「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律」(改正法)の施行により,「研修」「留学」「在留期間の特例」など変更等行われました。
遺品の整理をしていたら,封をした遺言書のようなものが出てきた。そんなとき,何気なくその封を開けてはいけません。
また,遺品の中からノートが出てきた。パラパラとめくると遺言らしきものが書いてある。みんなに見せるためでも,ちょっとそこだけ切り取ることは止めてください。
遺言書らしきものが出てきたら,その状態がどのようなものであろうと,直ちに家庭裁判所で検認の手続きをとる必要があります。
自筆証書遺言には,定められら様式があり,その様式を備えていないと無効となります。その判断は家庭裁判所が検認によって行います。
遺言書に封がしてある場合に,むやみに開封すると5万円以下の過料に処せられたり,相続人が遺言書を隠したりすると,相続欠格者となるので注意が必要です。基本的に相続財産は被相続人のものであるので,遺言書があるにもかかわらず,相続人が勝手に処分等行うのでなく,被相続人の意思を重く見ようということです。
自筆証書遺言とは別に公正証書遺言というものがあります。これは公証人役場で承認を伴い作成した者であるので,検認の必要はありません。
また,原本は公証役場に保管されているので,正本がなくなっても公証役場で原本を確認することができます。
今回は離婚の話題です。単に性格の不一致だけでは裁判上ではなかなか離婚が認められないことが多いようです。今回のケースもいったん地裁では棄却されました。
次のようなケースです。
妻は出産後,子どもの養育に熱中していきました。夫は妻との教養ある会話を期待して結婚していたのですが,妻は子育てに夢中で,そのような会話が次第に成り立たなくなってきてしまったのです。夫はたまらず,そのことを妻に指摘しました。しかし,子どもの養育に一生懸命になることは親として当たり前でもあり,逆に子育てに理解がないとしてmたびたびたび口論になってしまうこともありました。
蒸気を原因とすることではなかったのですが,結婚当初,些細な口論から妻がヒステリー性の発作を起こすようになっていました。そこで,上記のように口論になると,妻はいつもではないが,発作を起こすようになってきました。
口論は続きますが,お互いの主張は平行線で,妻の養育や家事に対する熱中は変わりなく,夫が期待していた妻の像と現実の姿のギャップはどんどん大きくなっていってしまいます。
結婚5年後,そのような妻に愛想をつかし,夫はとうとう別居を決意してしまいます。
その翌年に夫は離婚調停を申し立てましたが,調停が3年にも及びますが不調に終わってしまいました。
そのまま別居生活は継続され,そして結婚10年後に夫は2回目の調停を申し立てることにします。しかし,これも不調に終わってしまいました。
そこで,そのまま夫は離婚訴訟を提起することにしました。
地裁では離婚の原因は夫のわがままであると請求は棄却されましたが,控訴し,高裁では離婚の原因は夫のみの責任ではなく,夫婦の人生観・性格の不一致にあるとし,さらに婚姻関係が完全に破たんしているとして,結局,請求は認容されました。
後見類型の対象となる方は「精神上の障害により」「事理を弁識する能力を欠く常況にある」方となります。この「常況」は「状況」ではありません。つまり,能力を欠く状態にあるだけでなく,常にそのような状態である必要があると言うわけです。
あまり気持ちの良い響きではありませんが,法律ではこのように定められています。具体的にどのような状態をいうのかは定義されておりませんが,いわゆる植物状態にある場合,その他に恒常的に判断ができない状態にある場合や,時折,判断能力が回復する場合でも,通常は判断できない状態にある場合も含まれるとしています。
さらに具体的な事例では,寝たきりでほとんど意思表示がない状態で会ったり,通帳,銀行印などの大事なものをたびたび紛失したり,自分の住所,家族の名前などのきわめて身近なことが思い出せなくなったりなどが大まかな基準とされています。
ただし,最終的には医師の診断書,鑑定によって家庭裁判所が認定していくことになります。
後見の申立てにおいて,家庭裁判所は「申立ての動機や目的」「本人の健康・生活の状況」「財産状況」「親族(相続人)の関係」などを重視していきます。
後見の審判が決定し,被後見人となるとほとんどの財産に関する法律行為ができなくなります。本人が勝手に行った法律行為は成年後見人,または本人によって取り消すことができます。
ただし,本人のすべての経済活動を規制しては自己決定権の侵害になってしまいますので,身近な日用品の購入や日常的な行為(孫にお小遣いをあげる,好きな食べ物などを買う)などは被後見人がひとりで行うことができます。
その他,被後見人となると,前に述べたように一定の地位・資格や権利を喪失することになります。
留学生の安定的な在留のため,在留資格「留学」と「就学」の区分をなくされました。
「留学」の在留資格へと一本化するものです。
従来,「留学」は大学生や専門学校生など,「就学」は高校生などを対象とした在留資格でした。
「就学」は在留資格の有効期間が1年または半年と,「留学」の2年または1年に比べ短かったのですが,一本化されることによって,落ち着いて勉学にいそしめるわけですね。
なお,法律の施行後,活動内容に変更がなければ,現在「就学」の在留資格を有する学生の方が「留学」に変更する必要はありません。
2人以上の者が一つの遺言書に遺言を残すことを共同遺言と言います。共同遺言は民法によって禁止されています。
これは,同じ遺言書に,「2人以上の者がそれぞれに独立をして遺言を残す」「同じ遺言書で2人以上の者がお互いに遺贈しあう内容を残す」「2人以上の者がそれぞれの遺言の効果を停止条件などにする」場合もあります。しかし,いずれも無効となります。
共同遺言は,共同で行うことによって,遺言者個人の自由な意思に何らかの影響を与えあうこと,共同者の誰かが,遺言を撤回した場合の手続き上の問題,共同者のいずれかの部分に無効事由がある場合の問題などが理由でできないとされています。
しかし,自筆証書遺言で,封がしてあり,その中に2通の別々の個人の遺言書が入っている場合は,一つの遺言書ではないので有効となります。また,別々の遺言書がホチキス等でつづられている場合でも,容易に切り離すことができるので,有効となります。
いずれにせよ,遺言書を発見した場合は家庭裁判所で検認の手続きを行って下さい。手続等が分からない場合は「はあとふる法務事務所」までご相談ください。
しかし、いなくなった人の財産、所有物がその人の名義のままであると、色々な不都合が生じてしまうのも事実です。
そこで、その場合、失踪の宣告という制度を利用することを考える必要も出てくることでしょう。失踪の宣告とは次のような制度です。
不在者の生死が7年間明らかでないときは,利害関係者は家庭裁判所に失踪の宣告の請求をすることができます。
7年の起算点はその不在者の生存が認められた最後の時点の翌日となります。その時点から起算し,満7年間経過すると請求できることになります。
申立人となる利害関係者とは,法律上,不在者と利害関係のある者で,配偶者,父母,生命保険受取人などが該当します。
利害関係者は不在者の住所地,居所地等を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
家庭裁判所は申立てを受けると,調査後に不在者について6ヶ月以上公示し,その後失踪宣告されます。
失踪宣告の審判がされると,不在者は死亡した者とみなされ,相続が発生し,また,配偶者は再婚も可能となります。
いなくなった人に対して、亡くなったことにするなど、冷たい制度のような感じを受けます。しかし、現にここにいる人たちの利益と幸を考えると、それも必要なのかなぁと感じます。
今回のケースは別居していた妻の母親が少しずつ,夫婦の住居に居座るようになってきたケースです。
居座るだけでなく,妻の母親はよく夫をなじるため,夫と妻の母親はとても不仲となってしまいました。結構,ずうずうしい母親なのでしょうか?
それならば,妻が当然,母親に少しは遠慮した態度をとるように促したかというと,今回はそうでもなく,妻は,夫に相談もせず,妻の母親との同居,そして,同居に向けての増築計画の相談までしていたのです。
当然ながら,夫はそのこと知ってからは妻に対する不信を募らせ,また,妻の母親に自宅に戻るよう強く要求していました。
結局,夫のが強い要請で,妻の母親は自宅に戻ることになりました。しかし,そう簡単に話は終わりません。今度は妻が夫の母親に対して夫の悪口を言うようになったのです。
妻もなんで夫の母親まで巻き込むようなことをしてしまったのでしょうか。かっとなってのやつあたりなのでしょうか。
なので,また当然に夫の妻へ対する不信は極限に達してしまいます。このような状況では家庭内の会話はないばかりでなく,夫はとうとう自宅の自室にこもりがちになってしまいました。妻が執拗に話し合いを求めました。その結果,事態は好転することなく,夫は家を出て別居生活が始まってしまったのです。
夫婦の別居生活が2年半ほどに及んだ時に夫から家庭裁判所に離婚の請求がなされました。
しかし,6年余りの夫婦生活と比べ,別居の期間はさほど長くありません。そして,婚姻関係の回復はまだ期待されると判断されました。当事者間では,特に夫の側からは結婚を続けられない気持ちでいっぱいだったのかもしれませんが,家庭裁判所の判断は婚姻関係が破たんしているとはいえないとして離婚の請求は棄却されてしまいました。
夫婦は単に恋人同士ではなく,法的にお互いに助け合う義務を背負う関係になります。心の小さな隙間が,大きな溝になってしまって,どうしようもない気持ちになっても,外側から見て破たんしていると見られなければ,裁判では認められないことが多いです。
結婚する前,結婚してから,そして定期的にしっかりと夫婦で理解しあえるような話し合いを積極的に持つことがいいのでしょうね。
障がいのある子どもに出会いました。その子は友だちが自分の名前を書いているのを見て自分も,自分の名前を書こうとしました。
しかし,どうしても手が思うように動かず,書くことができません。他にも友だちと同じように字を書こうとするのですが,友だちのように書くことができないのです。
その子の目には涙が浮かんでいました。
友だちは書けるのに自分は書けない,そういったことのショックやもどかしさがあったでしょう。何でできないのかといった葛藤の中でさらに名前が書けないといった「できない」という事実がその障がいのある子どものの小さな胸をギュッと締め付けます。
その経験の中で,自分の可能性に疑問を持ち,自分に対する希望の明かりに陰りがさしてきてしまいます。そして自信がなくなってきて,様々なマイナス思考要因が育まれていってしまうのです。
障がいのある人にとってできないことは教えてもらわなくても,ひっきりなしにつきつけられてきます。そういう中にあっては,逆にできないことを嘆くよりも,できることを発見して,そこから自信の芽を育むことの方が本当は大切なのでしょうがなかなかうまくいかないものです。
違う障がいのある子どもが,将来の夢の発表で「路面電車の運転手になりたい」と発表しました。そのこの担任からの「無理な夢を抱いているのでどうやってあきらめさせたらいいでしょう」と言われました。
誰でも小さな時に大きな夢,時には大きすぎる夢を持ってしまうものです。成長とともに現実が突き付けられ,現実との闘いの中で非行や問題行動を見せる子どももいるでしょう。しかし,そうやって人は成長していくもの。
どうして,障がいのある子どもはその夢を早く捨てるよう促さなければならないのか,その先生の意図が分かりませんでした。
一方で,以前,障がいのある青年が相談に来ました。まあ,とにかくがんばってみようと励ますと「どうせできんから」そう言うのです。
「あなたには無理」と教えられ,できない可能性を植え付けられた結果,その心からはそんな言葉しか出てきませんでした。私はそこで自分にも言い聞かせている言葉を伝えました。
鳥の仲間であるペンギンやダチョウが空を飛べないことばかり嘆いていたら,広大な海の世界でのびのびと泳ぐ姿や,力強く颯爽と走る姿は見られなかったかもしれないよ。自分にもできることは必ずあるはずだから,できないと嘆くばかりじゃなくて,できることを一緒に探して,見つけようと。
冒頭で紹介した子どもも,実は現在はもう高校を卒業しています。そして,電動車椅子と出会い,大きく自分の世界を広げることができました。そして,違う自分の可能性を発見して,自信を取り戻すことができたようです。
最近は新聞紙上やテレビなどで成年後見制度という言葉をよく見聞きするようになりました。当事務所も専門的に扱っている業務ですが,いったい成年後見制度とはどんな制度なのでしょうか?
今回はごく簡単に成年後見制度についてまとめてみました。
後見制度は,判断能力が不十分な成年者に対して,家庭裁判所が選任した後見人等が,ご本人を支援し,同時に本人の権利を守る制度です。複雑な福祉の契約などを,ご本人の利益を考え,代わりに行うだけでなく,悪質な商法からご本人を守る役割も果たします。一方で,権利の制限や資格制限を受けることもあります。以下に,さらに詳しく触れていきたいと思います。
成年後見制度のメリットは,現在の複雑な経済システムや契約システムから本人を保護することだと考えられます。後見類型では,本人のできること(日用品の買い物等)を限定することで,様々な契約等を後見人がすることにして本人を保護することにしています。
保佐類型では,重要な法律行為をあらかじめ決めておき(民法13条1項)その範囲で保佐人の同意を要することにしています。また,被保佐人と保佐人の任意で特定の行為について代理権を保佐人に付与することができます。
保佐類型では本人を保護するとともに,本人の意思による自己決定の範囲を後見より広げています。
補助類型では,保佐における重要な法律行為の範囲で補助人の同意権を付与することができます。また,特定の行為について代理権を補助人に付与することができます。同意権,代理権いずれも被補助人と補助人の当事者間で決めることになっており,費補助人の自由意思を尊重する形となっています。
成年後見制度のデメリットとしてあげられるのは,被後見人,被保佐人に対する資格制限です。
被後見人,被保佐人ともに制限されるものとしては,法人,会社等の役員,また,医師,各士業,教員等の資格,事業の許可・認可・指定等,公務員等の地位,が取り消されることになります。
被後見人ではさらに,取り消される資格,許認可の範囲が広くなるだけでなく,選挙権や,被選挙権がなくなってしまいます。
選挙権については民主主義の基本的権利であること,また,後見登記がなされなければ同じ状態であっても,選挙権のある人,ない人となり,権利擁護の制度である成年後見制度を利用することで権利がなくなることから批判も多くあります。
また,印鑑登録も抹消されます。
このように,成年後見制度には大きなメリットもある一方でデメリットも存在します。ご本人の生活の状況や価値観等配慮しながら,制度の利用を考える必要があります。
今回は私は申請取次行政書士でもあるので,それらしく,少し入管法のお知らせをしてみたいと思います。
関係の方はご存知かと思われますが,2010年7月より入管法が新しくなりました。改正された点は何点かありますが,今回は研修・技能実習制度の見直しについて書いてみます。
今回の改正で,研修生や,技能実習生の保護の強化を図るため,新たな在留資格として「技能実習」が設けられました。
行うことができる活動は次の通りです。
① 「講習による知識修得活動」及び「雇用契約に基づく技能等修得活動」
企業単独型…海外にある合弁企業等事業上の関係を有する企業の社員を受け入れて行う活動
団体監理型…商工会等の営利を目的としない団体の責任及び監理の下で行う活動
② ①の活動に従事し,技能等を修得した者が雇用契約に基づき修得した技能等を要する業務に従事するための活動
これにより,雇用契約に基づき行う技能等修得活動は,労働基準法,最低賃金法等の労働関係法令等が適用されるようになります。また,①から②への移行は,在留資格変更手続により行うこととなります。
★その他以下の事項について,関係省令の改正等が行われました。
- 受入れ団体の指導・監督・支援体制の強化,運営の透明化
- 重大な不正行為を行った場合の受入れ停止期間の延長
- 送出し機関と本人との間の契約内容の確認の強化 など
研修という名目で安い賃金で労働を継続させることはできなくなるということです。
家族を失う。どうしようもなく悲しい出来事です。どうして人は亡くなるのか?
誕生の喜びにあふれたその日から,一方でその生まれたばかりの赤ちゃんにもいずれ必ず,死は訪れてしまう。
誰にも平等に訪れる,しかし,途方もなく大きな悲しみもともなう出来事。それが「死」ではないでしょうか。
感情的には大きな動揺を与えるこの出来事の一方で,事務手続きもこなしていかねばなりません。
以下はその事務手続きについて説明してみました。
人が亡くなった時は,その死亡についての届出義務者が,死亡の事実を知った日から原則として7日以内に死亡者の本籍地などに「死亡届」を提出しなければなりません。「死亡届」には死亡診断書,または死体検案書を添付しなければなりません。
届出義務者とは「同居の親族」「その他の同居者」「家主,地主または家屋もしくは土地の管理人」です。「同居の親族以外の親族」も届け出ることができます。
届出地は本籍地だけではなく,届出人の所在地,死亡地においても行えます。
亡くなった人を埋葬するためには死体火埋葬について市町村長の許可を受ける必要があります。この許可は通常死亡届と同時になされます。
申請者は火葬を行おうとする人です。
そして,相続が始まります。相続は悲しみをスタートラインとするものなのかもしれません。
しかし,現実では,相続を待ち望んでいるといったような悲しい事実もあるようです。
相続を専門として扱う以上,そのような現実も目にします。ただ,その現実の中で,さらに悲しい争いに発展しないようにしていかねばという気持ちを持って相談に向かいたいと思っています。
最近,メディアにもよく取り上げられている遺言書。さらに,「終活」との言葉もあるようです。この言葉は,縁起がいいのか悪いのか微妙な響きを持っているように感じます。
しかし,自分の財産を自分の思いを乗せながら清算していく活動は大切なのかもしれません。家族や親族,また,他の人たちと力を合わせながら築いてきた,現在の地位や財産。その大切な資産をどのように扱い,今後も扱ってほしいのか。この思いは伝えたほうがよいのではないでしょうか?
そのひとつの方法が遺言書です。今回は遺言書を書く上で注意することなど書いてみました。
遺言の方式は民法に定められています。その方式を満たさない場合には,遺言としての効力が認められないために注意が必要です。これは,遺言者の真意を明確にして,遺言をめぐる紛争等を防止するためになされています。
ただし,方式さえ満たせば,15歳以上の人であればだれでも自由にすることができます。しないことも自由です。
さらに,撤回や取り消し,変更も自由です。自由といっても,推定相続人が遺言者に強要して撤回,変更等させた場合は,その推定相続人は相続人となることができません。
遺言は普通方式と特別方式があり,普通方式は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。自分の環境,現状,状況など考え,自分に合った方式を選ぶのがよいでしょう。
遺言によって相続分や相続人を指定する場合は法定の相続分・相続人に関わらず,誰にどれだけ相続させるかは自由です。逆に遺言がないと相続人以外に相続させることはできないので,相続人以外に相続させる場合には必ず遺言が必要です。
遺言によって相続財産を指定する場合は,相続財産の把握を事前に行う必要があります。そのために,財産目録を作成するのがよいでしょう。
また,財産の指定をする場合には遺留分への配慮を忘れないようにしましょう。
遺言書は漢字・平仮名だけでなく,カタカナ,ローマ字でも構いません。意味さえはっきりとわかるのであれば,今風に略語を用いることも可能です。
ただし,意味内容が不明確になるような言葉の使用は避けましょう。相続人に相続させる場合は「○○に相続させる」相続人以外であれば「◎◎に遺贈する」などです。
また,不動産の表記も登記簿の通りに記載しなければなりません。
遺言書の書き方などはたくさんの書物が出版されており,ネットでも確認できます。このブログでも少しずつ紹介していく予定です。