問 私の知り合いで日本に長く住み永住資格を持っていたのですが、母国の男性と結婚してその男性が来日して、しばらくしてから永住資格が取り消されてしまったということを聞きました。本当にこういうことがあるのでしょうか?あるとしたら、どういう場合に永住資格が取り消されるのでしょうか?

答 もう少し詳しく聞いてみないと、なぜあなたの知り合いが永住資格を取り消されたのか分かりません。
ただ、考えられるのは、あなたの知り合いの結婚相手が「永住者の配偶者等」として日本に入国するときに何らかの不法行為(虚偽文書の作成とか)を犯し、あなたの知り合いがそれを「あおり、唆(そそのか)し、又は助けた」(入管法第24条第1項4号ル)ことがあったのかもしれません。これに該当すると、日本政府は「本邦からの退去を強制することができる。」ことになっています。「・・・できる。」ですから、退去強制にならず他の在留資格に変更させて結果的に永住資格の取り消しになることがあるのです。

一般的に、永住者の許可を受けると転職や出入国、結婚・離婚等も自由で取り消されることはないと考えられがちですが、そんなことはありません。永住資格を持って日本に滞在する上で注意して頂きたい取り消しになりそうな典型例をいくつか挙げておきます。

1.永住者の在留資格の許可後、何らかの事情により過去日本に入国したときや永住資格の申請したときに、虚偽・変造文書等を作成して許可を受けたことが発覚したとき

2.現在の在留カードは、出国しても1年(特別永住者は2年)以内に帰国するのであれば再入国の許可は受けなくてもいいのですが、何らかの事情により帰国が1年(特別永住者は2年)を超えてしまったとき(なお、予め1年を超える可能性がある場合は、従来どおり再入国の許可を受けておくことをお勧めします。)

3.新しい在留管理制度の下では、日本に3ヶ月以上滞在する中長期滞在者は住民基本台帳法に基づき、入国後14日以内に居住する市町村に住民登録することになっていますが、この住民登録は永住者も当然行わなければなりません。永住者(中長期滞在者も)が90日を超えて転出届や転入届を提出しなかったり、居住地について虚偽の届出をした場合は永住資格(中長期滞在者の在留資格も)が取り消しになることがあります。

4.刑法に定める一定の罪名(全てではない。)に違反して懲役又は禁錮に処せられたり、麻薬及び向精神薬取締法、売春防止法に違反した場合等も、いずれも退去強制になることがあるので、その場合は出国すると結果的に永住資格が取り消されることになります。

この他にもパスポートや在留カードの有効期限が経過しているとか色々考えられるのですが、永住者として引き続き日本に滞在するためには、刑法その他の法律に違反して犯罪行為をしないこと、出国しても帰国するには期間があることを忘れないこと、特に入管法に係る虚偽文書の作成やその譲渡や貸与の斡旋等にも一切係わらないこと等に注意して下さい。