問 僕は留学生ですが、今度日本人の友だちと一緒に旅行添乗員の会社を設立しようと考えています。ただ、僕は友だちと違い留学生なので会社の役員になれるかどうか不安があります。他の友だちや先生に聞くと「なれる。」という人と「なれない。」という人がいます。実際のところどうなのでしょうか?

答 そうですか。それでは分かりやすく説明しますね。商業登記法という法律があります。会社の設立登記を含めて、その名のとおり商業登記を定めた法律です。あなたは日本に居住しているので、商業登記法上は取締役はもちろん代表取締役にも就任することができます。(非居住者は取締役には就任できますが、代表取締役には2人代表制を採用する場合を除き就任できません。)なお、代表取締役に就任するには外国人登録をしている市町村若しくは特別区で個人の印鑑登録をする必要があります。

ところで、出入国管理及び難民認定法ではどう定められているでしょう?「留学」の在留資格はいわゆる就労資格ではありませんので、原則として「収入を目的とする事業を運営する活動」や「報酬を受ける活動」をすることはできません。但し、資格外活動の許可を受けた場合のみ例外的に就労することができます。しかし、この資格外活動の許可には次のような条件が付されています。「1週について28時間以内、学校が長期休業期間にあるときは1日について8時間以内(いわゆる風俗営業に従事するものを除く。)の活動」(出入国管理及び難民認定法施行規則第19条第5項)

つまり、あなたが仮に会社設立に参加して取締役あるいは代表取締役に就任しても、前述した資格外活動の条件を守ることができるでしょうか?実務的には、個別に活動時間、活動場所を特定して資格外活動の許可を受けることができないわけではないのですが、果たして会社経営というものがこのような時間制限のもとで行えるものなのでしょうか?

このようなわけで、私は留学生が会社を設立したり取締役に就任することは法令違反を犯す可能性があるので本人のために否定的なのです。事業をすることは卒業してからでは遅いのでしょうか?それまで待てないなら、学校を退学して他の就労資格に変更してから始めてはいかがでしょうか?